4月からは年金額が改定されます。これまでは月額6万8000円でしたが、4月からは6万9308円と1308円増額されます。物価や賃金の変動が考慮され金額が増えましたが、金額の上昇率は物価の伸びに届いておらず、実質的に目減りしている状況です。

年金は基本的に偶数月の15日に支給されますが、増額された金額での年金支給は4月15日ではありません。すぐに増額された金額が支給されないのはなぜでしょうか。この記事では、4月から増額される年金の支給スケジュールや年金改定について解説します。

1. 年金の改定をおさらい

2025年度の年金額は、以下のように改定されました。

 

  • 国民年金

・2024年度:6万8000円
・2025年度:6万9308円(+1308円)

  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)

・2024年度:22万8372円
・2025年度:23万2784円(+4412円)

2025年度は、2024年度から1.9%の増額となりました。

年金額の改定は、物価や手取り賃金の変動率をもとに改定されています。2025年度の年金額改定では、以下の数字が用いられました。

  • 物価変動率:前年の消費者物価指数の変動率

・2.7%

  • 名目手取り賃金変動率:直近3年度の実質賃金変動率の平均+物価変動率

・△0.4%+2.7%=2.3%

物価変動率のほうが名目手取り賃金変動率よりも高いため、名目手取り賃金変動率を改定率に用います。

ここに、マクロ経済スライドによる調整が加わります。マクロ経済スライドは被保険者数の変化率と平均余命の伸び率を勘案した数値をもとに算出する数値です。2025年度の調整率は△0.4%です。よって、年金額改定率は1.9%となります。

ただし、物価変動率が2.7%のため、改定率は物価の伸びに届いておらず、実質的に金額は目減りしています。今後も物価上昇に年金の伸びが追いつかなければ、目減りし続ける可能性があるでしょう。

次章では、改定された年金額の振込スケジュールを解説します。