日本では国民皆保険制度が採用されているため、病院を受診するときに「3割負担」となる方が多いです。
現役世代の方は働き方によって加入する健康保険が異なりますが、誰もが75歳を迎えると、後期高齢者医療制度に加入することとなります。
これにより、保険料や一部負担割合が変わることが一般的です。
ただし、中には65歳~74歳でも後期高齢者医療制度に加入する人がいます。
対象者について見ていきましょう。
記事の後半では、保険料や一部負担割合についても解説します。特に2割負担者の配慮措置は2025年9月30日で終了するため、押さえておきましょう。
1. 後期高齢者医療制度とは
75歳を迎えた人が加入する健康保険を、後期高齢者医療制度といいます。
「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、2008年4月に制度が開始しました。
それまで国民健康保険・健康保険組合・協会けんぽ・共済組合等に加入していた人であっても、年齢到達により脱退し、後期高齢に加入することとなります。
運営主体は、各都道府県に設置された広域連合です。
2. 【後期高齢者医療制度】65歳~74歳でも対象になるのはどんな人?
原則として75歳から加入することとなる後期高齢者医療制度ですが、中には75歳未満でも対象となるケースがあります。
65歳以上75歳未満の人のうち、一定の障害がある人は、申請により加入が認められるのです。
東京都の場合は、障害認定の要件として下記をあげています。
2.1 障害認定される要件
- 障害年金1級または2級
- 身体障害者手帳1級、2級、3級または「4級の一部」
- 精神障害者保健福祉手帳1級または2級
- 東京都愛の手帳(療育手帳)1度または2度
※身体障害者手帳の「4級の一部」とは、「下肢障害4級1号(両下肢のすべての指を欠くもの)」、「下肢障害4級3号(一下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの)」、「下肢障害4級4号(一下肢の機能の著しい障害)」、「音声・言語機能障害」が該当します。
2.2 障害認定の申請方法
障害の状態を明らかにする書類を添えて、お住まいの市区町村の担当窓口に申請が必要です。
65歳~74歳未満の方のうち、一定の障害がある場合は後期高齢者医療制度に加入できる可能性があることがわかりました。
原則は本人の希望で選べるのですが、後期高齢に加入する方が有利なのでしょうか。
所得や世帯の状況によって異なるため一概には言えませんが、後期高齢に加入する方が保険料が安くなることも多いです。
次章にて保険料の目安を見ていきましょう。
3. 後期高齢者医療制度の保険料はいくらか
後期高齢者医療制度における被保険者一人当たりの平均保険料額は、全国平均で以下のとおりです。
3.1 【2025年度】後期高齢者医療制度の「保険料率と全国平均」
- 被保険者均等割額の年額:5万389円
- 被保険者均等割額の月額:4199円
- 所得割率:10.21%
- 平均保険料額の年額:8万6306円
- 平均保険料額の月額:7192円
上記はあくまで全国平均の数字で、実際の保険料は、以下の2種類の保険料に基づいて個別に算出されます。
- 均等割額:被保険者が均等に負担する保険料
- 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料
所得による差があるところですが、厚生労働省の資料を参考に、年金収入195万円の場合の保険料を都道府県ごとに見ていきましょう。
3.2 年金収入195万円の人の後期高齢保険料【※2025年度】
- 全国:5673円
- 北海道:6325円
- 青森県:5415円
- 岩手県:4808円
- 宮城県:5216円
- 秋田県:5042円
- 山形県:5283円
- 福島県:5056円
- 茨城県:5358円
- 栃木県:4991円
- 群馬県:5567円
- 埼玉県:5067円
- 千葉県:5008円
- 東京都:5355円
- 神奈川県:5440円
- 新潟県:4850円
- 富山県:5033円
- 石川県:5573円
- 福井県:5458円
- 山梨県:6003円
- 長野県:5156円
- 岐阜県:5400円
- 静岡県:5275円
- 愛知県:6117円
- 三重県:5475円
- 滋賀県:5371円
- 京都府:6180円
- 大阪府:6495円
- 兵庫県:6134円
- 奈良県:5833円
- 和歌山県:6125円
- 鳥取県:5892円
- 島根県:5618円
- 岡山県:5758円
- 広島県:5438円
- 山口県:6408円
- 徳島県:6033円
- 香川県:5892円
- 愛媛県:5719円
- 高知県:6100円
- 福岡県:6641円
- 佐賀県:6250円
- 長崎県:5792円
- 熊本県:6259円
- 大分県:6509円
- 宮崎県:5675円
- 鹿児島県:6592円
- 沖縄県:6410円
実際には所得や世帯の状況によっても異なります。
筆者も元公務員として相談を受ける際、保険料の試算結果を提示することで選択してもらっていました。
もうひとつ気になるのが、医療費の自己負担割合です。
病院にかかるときに支払う医療費は3割というイメージがあるかもしれませんが、こちらも加入する保険によって異なるのです。
4. 後期高齢者医療の「一部負担割合」とは
後期高齢者医療の一部負担割合は、所得によって1割~3割負担にわかれます。
- 3割負担(現役並み所得者):同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合
- 2割負担(一定以上所得のある方):以下の①②の両方に該当する方
① 同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が28万円以上145万円未満の方がいる
②同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が、被保険者が1人の場合は200万円以上・被保険者が2人以上の場合は合計320万円以上
- 1割負担(一般所得者等):同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも28万円未満の場合、または上記(1)に該当するが(2)には該当しない場合。住民税非課税世帯の方
65歳~74歳で加入を検討する場合、自己負担割合がいくらになるかも確認が必要です。
後期高齢以外の保険の場合、70歳未満は3割・70~74歳は2割か3割となるため、1割負担で済む場合は後期高齢が有利といえるでしょう。
ただし、障害者向けの医療費助成により、医療費の自己負担が軽くなる制度が別途あります。
都道府県や市区町村によって対象が異なりますが、いずれの保険を選択しても一部負担に違いがない場合は、保険料をもとにどちらの保険に加入するか選択するといいでしょう。
5. 2025年9月30日「2割負担の配慮措置」が終了へ
後期高齢者医療制度には、「2割負担」もあると解説しました。
実は、2割負担は2022年10月に導入されたばかりで、比較的新しい制度となります。
政府は経過措置として2割負担の方への配慮措置をとっていましたが、2025年9月30日に終了となる予定です。
窓口負担が上限3000円で済むという配慮措置のため、10月以降は医療費が高くなる方もいると思われます。
6. まとめにかえて
後期高齢者医療制度について解説しました。
原則として、誰もが75歳を迎えると「後期高齢者医療制度」に加入することになります。
配偶者の健康保険の扶養だった人の場合、後期高齢になることで保険料が新たに発生します(軽減措置あり)。
ただし、後期高齢になることで保険料が下がる人もいます。
所得や世帯の状況に異なるため、気になる方は自治体窓口に相談するのもひとつです。
特に、65歳~74歳で一定の障害に該当する方の場合は、どちらか選択できるため検討してみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「令和6年度版 後期高齢者医療制度のしくみ」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「対象者」
- 板橋区「心身障害者医療費助成(マル障)」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「東京都後期高齢者医療制度の概要 令和6・7年度版 」
太田 彩子