2. 「3月〜5月の残業は損」に含まれる誤解
確かに3月〜5月に残業をすると、社会保険料が高くなる可能性があります。
しかし、言葉のインパクトが大きいため、中には誤解が含まれているケースもあるようです。
2.1 誤解①対象月が3月〜5月とは限らない
残業代は、残業した月の月末に確定して翌月に支払う企業がほとんどのため、「標準報酬月額」に関与する残業代の対象月は3月〜5月となることが多いです。
しかし、中には3月に働いた分を3月に支払うという会社もあります。勤務月と支払月は会社によって異なることもあるので、個別のケースを確かめる必要があるでしょう。
実際に見られる「標準報酬月額」は、4月〜6月支払の給与分です。
2.2 誤解②社会保険料が高くなる=損とも言い切れない
残業を多くすると「標準報酬月額」が増え、結果的に社会保険料が高くなることで手取りが減ってしまうため、損に思えてしまうものです。
しかし、社会保険料は掛け捨てではないため、一概に「社会保険料が高くなる=損」とも言い切れません。
たとえば、傷病手当金や出産手当金、将来受け取れる厚生年金などはその分多くもらえることになります。
ただし、いくら払っていくらもらえる、などの損得勘定も難しいものです。保障や保険はいざという時を支えるものである性質上、単純に得する・損するとは言えない難しさがあります。
2.3 誤解③3月〜5月に残業すると税金が高くなる→税金と社会保険料を混同しているかも
「3月〜5月」という特定の期間に残業することで、1年分の”税金”に影響すると思っている方がいますが、この場合は社会保険料と税金を混同しているかもしれません。
残業をして給料があがれば、もちろん税金にも影響があります。ただし、社会保険料のように「3月〜5月勤務(4月~6月支払い)」の期間のみで算定されるわけではなく、所得税も住民税も1年を通した期間で算定されます。
どちらも給与から強制的に天引きされるものではありますが、異なるものであることを押さえておきましょう。