お金に関する相談を日々受けている筆者ですが、最近はNISAやiDeCoなど「税金が優遇される制度」に注目する人が本当に増えてきました。
物価も上がる中で、「少しでもお得にお金を守りたい」という気持ちは多くの人が感じていると思います。
そんな中で、意外に知られていないのが「住民税が非課税になる世帯」の存在です。
そこでこの記事では、非課税世帯になるための条件や、どんな人が対象になるのかをわかりやすく整理。
さらに、これからの暮らしに備えるための「資産の守り方」についてもご紹介します。
1. 「住民税非課税世帯」とは?対象となる条件をわかりやすく解説
住民税非課税世帯に該当する世帯とは?住民税課税世帯の年代別割合を次の写真で見る1/4
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住民税は、その年の1月1日時点での前年の所得をもとに課税されますが、一定の要件を満たす場合には非課税となり、支払う必要がなくなります。
たとえば、国税庁が公表している「令和6年度版 暮らしの税情報」によれば、総所得金額が45万円以下であれば、住民税の所得割は非課税となります。
また、パート収入のみで年間100万円以下であり、他に収入がない場合も、同様に所得割が課税されないケースがあります。
ただし、所得割が非課税であっても、自治体によっては均等割(定額の住民税)が発生することがあるため注意が必要です。
住民税の取り扱いは自治体によって細かく異なるため、正確な情報はお住まいの市区町村に確認するのが確実です。
次章では、東京都23区内における「住民税非課税世帯」の具体的な要件について、例を挙げながら詳しく解説します。
1.1 「住民税非課税世帯」に該当する世帯要件(東京都23区内の場合)
(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
たとえば、「同一生計配偶者や扶養親族がいない方」の場合、住民税が非課税となる目安は「所得が45万円以下」です。
この基準を年収ベースで見てみると、所得の種類によって非課税となる年収の目安は異なります。
以下は、港区における目安となる年収額です。
- アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
- 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
- 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
- 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)
住民税が非課税となる条件として、給与収入がある場合は年収が100万円以下、年金収入のみの場合は、65歳以上であれば155万円以下、65歳未満であれば105万円以下という基準が設けられています。
このことから、年金のみで生活している方は、住民税非課税世帯に該当する可能性が比較的高いといえるでしょう。
次章では、厚生労働省の統計をもとに、年代ごとの住民税課税世帯の割合について詳しく見ていきます。
2. 【年代別一覧】住民税の課税・非課税世帯の割合とは?実態をチェック
厚生労働省が公表した「令和5年国民生活基礎調査」によれば、年代別に見た住民税課税世帯の割合は、年齢が高くなるほど徐々に低下する傾向が確認されています。
- 30歳代:88.0%
- 40歳代:90.0%
- 50歳代:86.4%
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
- 65歳以上(再掲):61.9%
- 75歳以上(再掲):50.9%
この傾向から、相対的に高齢層では住民税非課税世帯の割合が高くなると考えられます。
ただし、調査結果には住民税課税世帯と判断できない「不明」の世帯も含まれているため、課税されていない世帯すべてが非課税とは限らない点には注意が必要です。
また、同じ住民税非課税世帯であっても、経済状況には差があります。
年金のみで生活が厳しいと感じている世帯がある一方で、非課税でありながらも十分な貯蓄を保有し、ゆとりのある暮らしをしている世帯も存在します。
これは、住民税非課税の判定にあたって「貯蓄額」が考慮されていないためです。
高齢者世帯が住民税非課税に該当しやすい背景には、主に以下の3つの要因があります。
- 収入が減る
- 住民税非課税世帯の目安となる「所得45万円」は、給与収入より年金収入のほうが高くなる
- 遺族年金は非課税
住民税非課税かどうかの判定には、貯蓄や資産の有無は影響しないため、「高齢者世帯の資産状況はどうなっているのか」と気になる方も少なくありません。
そこで次章では、70歳代の人が実際にどの程度の金融資産を保有しているのかについて、具体的なデータをもとに詳しく確認していきます。
3. 二極化傾向が顕著に…。70歳代の貯蓄事情を詳しく見る
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」を参考に、金融資産を保有していない世帯を含む、70歳代・単身世帯と二人以上世帯の貯蓄額を紹介します。
3.1 70歳代・単身世帯の貯蓄一覧(貯蓄割合・平均貯蓄額)をチェック
- 平均値:1634万円
- 中央値:475万円
- 金融資産非保有:27.0%
- 100万円未満:5.1%
- 100~200万円未満:5.7%
- 200~300万円未満:4.9%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:7.3%
- 700~1000万円未満:5.9%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:4.7%
- 2000~3000万円未満:6.1%
- 3000万円以上:15.9%
- 無回答:2.4%
70歳代の単身世帯における平均貯蓄額は1634万円とされていますが、この数値は一部の高資産層によって押し上げられている側面があります。
より実態に近いとされる中央値を見てみると、貯蓄額は400万円台となっており、平均額と比べて大きな差があることが分かります。
また、70歳代の単身世帯では、貯蓄額に大きなばらつきが見られ、世帯間での資産格差が顕著になっています。
3.2 70歳代・二人以上世帯の貯蓄一覧(貯蓄割合・平均貯蓄額)をチェック
続いて、70歳代の二人以上世帯における貯蓄事情を確認していきましょう。
- 平均:1923万円
- 中央値:800万円
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19%
- 無回答:3.5%
二人以上の世帯の、貯蓄の平均額や3000万円以上の金融資産を持つ世帯の割合を見ると、単身世帯よりも経済的に余裕があるように映るかもしれません。
しかし実際には、70歳代の二人以上世帯のうち、金融資産をまったく保有していない世帯の割合は20.8%にのぼっており、単身世帯と同様に経済的に厳しい状況に直面している世帯も少なくありません。
そのため、資産や年金収入が十分でない高齢者世帯にとっては、国の給付制度が生活の大きな支えとなるケースも多いと考えられます。
4. 将来のために、自分の資産をどう守る?これからの備え方とは
このインフレの中で銀行預金に置いているだけでは目減りしてしまいます。大切な資金を貯めるためには、お金の置き方にも工夫が必要です。
具体的にはご資金の使い道や金額に合わせた金融商品を活用するのがひとつでしょう。金融商品の中には株式や債券、投資信託など様々なリスク性を持ったものがあります。
インフレ対策として自分に合った運用を取り入れることも検討してみるといいでしょう。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 国税庁「令和6年版暮らしの税情報」
- 財務省「第2 一般会計」
川勝 隆登
