総務省は、1月24日に2024年の消費者物価指数の平均を公表しました。2020年時点を100とすると108.5で、前年から2.7%の上昇です。

生鮮食品のみを除いた場合は107.9、生鮮食品とエネルギーを除いた指数は107.0で、いずれも前年から2%以上の上昇となっています。直近の指数は110.7と、物価高は依然として続くと考えられます。

消費者物価指数の平均とあわせて、厚生労働省からは次年度の年金支給額と、夫婦二人世帯の標準的な年金額とされる「モデル年金」も公表されました。

年金は物価や賃金の変動の影響を受けて、最終的な支給額が決まります。物価高の影響を受けて、年金額はどのように改定されたのでしょうか。

この記事では、2025年度の年金改定について、過去5年間のモデル年金額の推移を交えて解説します。

1. 2025年度の年金額は1.9%増も…

厚生労働省が公表した2025年度の年金改定額は、以下のとおりです。

【写真全4枚中1枚目】2025年度の年金額例、2枚目では過去5年間のモデル年金額の推移をチェック

2025年度の年金額例

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

  • 国民年金(月額):6万9308円(対前年比+1308円)
  • 厚生年金(月額):23万2784円(対前年比+4412円)
    ※昭和31年4月1日以前生まれの方の国民年金(老齢基礎年金)は、1人分で月額6万9108円。(対前年度比+1300 円)
    ※厚生年金は夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準的な金額で、男性の平均収入で40年間就業した場合に受け取れる水準。

2025年度の年金は6万9308円です。金額だけ見れば、今年度の金額から1308円増えています。厚生年金の標準金額は23万2784円で、今年度から4412円の増額です。割合に換算すると。1.9%の増加となりました。

この1.9%の改定は、名目手取り賃金変動率(※)2.3%に対してマクロ経済スライド0.4%の減額調整が入った結果です。

物価変動率は2.7%ですから、物価の伸びに対して年金額の伸びは追いついていません。よって、金額こそ増えましたが、実質的には目減りとなっているのです。

次章では、厚生年金の標準額である「モデル年金」について、より詳しく見ていきます。

(※)直近3年度の実質賃金と前年の消費者物価指数変動率、現在0.0%の可処分所得割合変化率をあわせた数値のこと。