3. 初任給から引かれるお金
初任給から引かれるお金は、以下のとおりです。
入社1ヶ月目から徴収
- 所得税:課税所得に応じて
- 雇用保険料:給与の0.6%
入社2ヶ月目から徴収
- 健康保険料:標準報酬月額×健康保険料率×1/2
- 厚生年金保険料:標準報酬月額×18.3%×1/2
- 労働組合費など:勤務先による(月500円など)
入社2年目6月から徴収
- 住民税:課税所得の10%+均等割
給与からは税金や社会保険料が引かれますが、引かれるタイミングが異なります。所得税や社会保険料は入社2ヶ月目までに差し引かれます。
一方、住民税は前年の所得をもとに金額が決まるため、入社前に住民税が課税されていなければ入社初年度は課税されません。次に住民税の徴収が始まるタイミングである入社2年目の6月から、正式に住民税の納付がスタートします。
給与が20万円の場合、おおよその手取り金額は以下のとおりです。
- 所得税:3193円
- 雇用保険料:1200円
- 健康保険料:9980円
- 厚生年金保険料:18300円
- 住民税:7218円
- 手取り金額(1年目):16万7327円
- 手取り金額(2年目以降):16万109円
1年目は住民税が課税されないケースが多いため、2年目以降より若干手取り金額が増えます。2年目以降も給与が変わらない場合は、約4万円が税金や社会保険料として差し引かれます。
4. まとめ
新卒の初任給は、今後の物価上昇に耐えられるようこれまでよりも大幅に引き上げられています。現役世代の人にとっては、現在の初任給は入社当時のものからは想定できない金額になっているのではないでしょうか。
とはいえ、物価上昇は今後も続くことが予想されます。初任給だけでなく既存社員の給与が物価上昇率に負けないほど引き上げられ、税や社会保険料の負担が減れば、経済の好循環を実感できそうです。
参考資料
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)11月分」
- 日本労働組合総連合会「33年ぶりの5%超え!~2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~」
- 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率について」
- 全国健康保険協会「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 東京都主税局「個人住民税」
石上 ユウキ