4. 将来に向けた3つの資産形成
では最後に、老後資産を作る方法を3つご紹介します。
4.1 1.個人年金保険
まず1つ目は、個人年金保険です。個人年金保険は保険会社が提供する商品です。
個人年金保険では、高いリターンを期待することは難しいですが、安定した積立ができる商品となっています。
さらに、年末調整や確定申告を通じて節税効果を得られる場合もあります。
大きな利益を得ることは難しいものの、安定的に積立を行いたい方には向いているでしょう。
4.2 2.iDeCo
2つ目は、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。
こちらも積立を行う仕組みですが、個人年金よりもリスクはあるものの高いリターンを狙うことも可能です。
iDeCoでは、安定的な商品に投資することもできますし、株式中心の投資信託を選んで積極的な運用を行うこともでき、リターンを大きく狙うとその分リスクが高くなりますが、積み立てた金額は全額所得控除として利用できるのが魅力でしょう。
60歳までは引き出しができない点に注意が必要ですが、老後資金準備に向いています。
4.3 3.NISA制度
最後は、NISA制度です。2024年1月に制度が改定され、近年最も注目を集めている制度の一つと言えるでしょう。
NISAでは、投資信託だけでなく株式にも投資することができるため、大きなリターンを狙うことが可能です。
さらに、利益や配当が非課税となり、加入してから引き出すまでの期間が自由である点も人気の理由です。
日本証券業協会「「新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」の公表について」によれば、2024年に新NISAで金融商品を購入した調査対象者7610人の中で「年収300万円未満」の方が39.7%、「300万円~500万円未満」が27.7%、「700万円~1000万円未満」の方が10.0%など幅広い年収帯の方が利用しています(2025年2月12日公表)。
ただし、iDeCoと同様に、国が提供している制度ですが、元本保証がない点はしっかりと理解しておく必要があり、リスクがあり必ず増えるわけではないため、安定的な投資方法と組み合わせて利用することが重要です。
今回は3つのお方法を紹介しましたが、他にもさまざまな選択肢があります。
自分に合った方法を見つけるために、メリットとデメリットをよく理解し、将来に向けた準備を始めましょう。
5. 厚生年金の高額受給者のまとめ
今回は令和シニアの年金受給額の状況や、高額受給者と言われる方がどれくらいの年金額を受け取っているか、また高額受給者が年金受給者全体に占める割合等について解説してきました。
月額30万円以上の年金を受け取る高額受給者の方はたしかに存在しますが、それもごく少数派ということが分かりました。
しかし、現役世代の目線で言えば「月額30万円の収入は高収入と言えるか?」と言えば、日本人の平均年収が460万円であることを考えると高収入とは言いにくいかもしれません。
私たちが将来受け取る年金の受給額は現役時代の収入に比べると少ないものから、年金以外の備えは大切です。
将来、年金収入が少なくても生活水準を大幅に下げるのはちょっと難しいかもと思う方は、今のうちから十分な老後資金の準備を考えてみるといいでしょう。
参考資料
- 日本証券業協会「「新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」の公表について」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果ー」
鶴田 綾