現役世代では賃上げのニュースが増えている一方で、年金の増額についてはあまり話題になりません。
2025年1月24日に発表された2025年度の年金額は1.9%の引き上げとなりましたが、マクロ経済スライドの発動により、物価上昇率には追いついていないのが現状です。
そこで今回は、年金生活に入る65歳以上のシニア世帯がどのように生活しているのか、実際の生活費や貯蓄状況を詳しく見ていきます。
今後の生活設計を考えるうえでのヒントを探ってみましょう。
1. 「65歳以上の無職二人以上世帯」の貯蓄額の平均は?
総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の無職二人以上世帯の平均貯蓄額は2504万円でした。
2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移は以下のとおりです。
1.1 2018年から2023年:平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2018年から2020年までは平均貯蓄額が2200万円台だったものの、2021年から上昇し始め、2023年には2500万円台に到達しました。
この増加の背景には、年金制度に対する不安や、長寿化の影響があると考えられます。
少子高齢化の進行により年金財政が厳しくなっている現在、老後に備えてできるだけ貯蓄しようという意識が高まるのは理解できます。
さらに、「人生100年時代」と言われる中で、老後の生活費の増加や長期間の生活に備えるため、貯金の重要性が増しています。
また、金融市場の影響もあり、最近では、株や投資信託に積極的に取り組んでいる高齢者が増えており、うまく運用できたことも貯蓄額増加の一因となっているでしょう。
一方で、運用がうまくいかなかった場合のリスクもあるため、資産運用は計画的に行うことが大切です。
次に、無職世帯だけでなく「勤労世帯も含めた」貯蓄額の状況を見ていきましょう。