日増しに寒さが深まり、冬の足音が聞こえてくる季節となりました。
この時期は、年末調整の書類準備などで、ご自身の「お金」について考える方も多いのではないでしょうか。
2025年度の年金額は1.9%増額と発表されましたが、日々の物価高を実感する中で「公的年金だけで生活できるのか」という不安は尽きません。
実際、最新の調査(2024年国民生活基礎調査)では、年金受給シニア世帯の4割以上が、収入のほぼ全てを公的年金に頼っているという実態が明らかになりました。
本記事では、まず日本の年金制度の基本をおさらいし、年代別のリアルな平均受給額をデータで確認します。
その上で、シニア世帯の収入実態を直視し、現役世代が今から何を準備すべきかを考えます。
1. 日本の公的年金制度は2階建て構造ってどういうこと?
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2つから構成されているため、下の体系図のような「2階建て」構造と呼ばれています。
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
国民年金制度の加入対象は、原則として国内居住者のうち「20歳以上60歳未満」のすべての人々です。
年金保険料は全国一律で、年度ごとに見直しが実施されます(※1)。40年間保険料を漏れなく納めた人は、65歳以降に満額の老齢基礎年金(※2)を受給できるようになります。
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:《厚生年金》
厚生年金制度に加入するのは、会社員や公務員、さらに特定適用事業所(※3)で働くパートなど、一定の要件をクリアした人で、国民年金と併せて加入する制度となっています。
- 年金保険料(※4):給与水準により決定する(上限あり)
- 老後の受給額:加入した期間や支払った保険料によって個人ごとにばらつきが出る
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
「2階建て構造」で説明される日本の公的年金制度は、1階が「国民年金」、2階が「厚生年金」となっていますが、加入対象となる人や保険料の決まり方、将来受給できる年金額などに大きな差があります。
