少子高齢化が進む日本において、年金受給者の生活をどのように支えるかは重要な課題となっています。「年金生活者支援給付金」は、低所得である年金受給者の生活を経済的に直接支援するための制度です。

2024年6月の速報値として、この支援給付金は全体で780万件以上の受給件数があり、多くの年金受給者の支援をしていることがわかります。今回は、この年金生活者支援給付金について、対象者と給付額を説明した上で、手続き方法や注意点を解説していきます。ぜひ参考にしてください。

【写真全6枚/1枚目】年金生活者支援給付金の件数と給付金総額の一覧表。次の写真以降で年金生活者支援給付金の給付基準額と受給要件を一覧で見る1/6

年金生活者支援給付金の状況

出所:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業月報(速報)」

1. 年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金は、2019年の消費税率引き上げによる影響を補う目的で創設されました。

この給付金は、公的年金等(老齢・障害・遺族基礎年金)の受給者が、年金収入とその他の所得を合わせても一定以下である場合に、生活の支援を図るためにそれぞれの年金に上乗せして支給されるものです。

年金受給額とその他の所得を合計しても、生活が苦しいと考えられる層への支援策として創られたものです。

年金生活者支援給付金の概要2/6

年金生活者支援給付金の概要

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

2. 給付額と受給要件

給付金の給付額と受給要件は、元となる年金の種類によって異なります。

それぞれの支援給付金について、簡単に解説をしていきます。

年金生活者支援給付金の給付基準額と受給要件3/6

年金生活者支援給付金の給付基準額と受給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」を元に筆者作成

2.1 老齢年金生活者支援給付金

【対象者】

下記の全てを満たす者

  • 65歳以上の老齢基礎年金受給者であること
  • 前年の年金収入とその他所得の合計が基準額以下であること
    ※基準額は生年月日により以下の通り
    ・昭和31年4月2日以後生まれ:88万9300円
    ・昭和31年4月1日以前生まれ:88万7700円
  • 世帯全員が市町村民税非課税であること

※老齢年金の繰下げ支給の申請をしている場合は、繰下げ中は給付金を受け取ることはできません。

【支給額】

基準となる支給額は月額5310円(年間6万3720円)です。
ただし、国民年金の未納期間や免除期間がある場合は、その期間に応じて支給額が減額されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金

【対象者】

下記の全てを満たす者

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

【支給額】

年金受給の元となっている障害等級により支給額が異なります。

  • 1級:月額6638円(年間7万9656円)
  • 2級:月額5310円(年間6万3720円)

2.3 遺族年金生活者支援給付金

【対象者】

下記の全てを満たす者

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

【支給額】

月額5310円(年間6万3720円)が基本ですが、遺族となっている子が複数いる場合は、人数で割った金額がそれぞれに支給されます。

3. 手続き方法と留意事項

給付金の受給を開始するためには、手続きをする必要があります。

受給を開始するタイミングによって、手続きの方法が異なるので、注意しましょう。それでは次に、給付金受給のパターンごとに手続きの流れについて説明をします。

3.1 パターン1.既に基礎年金等を受給している場合

すでに老齢基礎・障害基礎・遺族基礎のいずれかの年金を受給している人が、所得の減少などにより新たに給付金の対象となった場合の手続き方法です。

  • 日本年金機構が、個人の所得情報を確認した上で支給要件を満たすかどうかを判定
  • 新たに支給対象となった人に対して、毎年9月頃に年金機構から年金生活者支援給付金請求書(ハガキ型)を送付
  • 年金受給者は、受け取った請求書に必要事項を記入し、返信用に切手を貼って郵便ポストに投函

既に基礎年金等を受給している場合の申請方法4/6

既に基礎年金等を受給している場合の申請方法

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」

3.2 パターン2.これから基礎年金の受給を開始する場合

今まで年金の受給をしておらず、新たに受給を開始するときに一緒に給付金の申請もする場合の手続き方法です。

  • 年金の受給開始する際の請求の時、「年金請求書兼年金生活者支援給付金請求書(A4用紙)」によって、支援給付金の請求手続きを同時に行う
  • 審査の結果、支給要件に該当する場合に年金機構から支給決定通知書が送付される

これから基礎年金の受給を開始する場合の申請方法5/6

これから基礎年金の受給を開始する場合の申請方法

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する方」

3.3 パターン3:特別支給の老齢年金を受け取っている人が、65歳到達時に支援給付金の対象となる場合

65歳未満の厚生年金加入期間がある人に対して、特別に支給している「特別支給の老齢年金」を受給している人が、65歳到達時に支援給付金の対象になる場合の手続き方法です。

  • 年金請求書兼年金生活者支援給付金請求書が入った封筒が年金機構から送付される
  • 同封の請求書(ハガキ)に必要事項を記入の上、ポストへ投函

手続きは原則として初回の1回のみ行うこととなっており、条件を満たしていれば翌年以降は手続きを行う必要はありません。

4. 支援給付金の受給に関する注意点

最後に、給付金を受給する際の注意点や疑問点についていくつか解説をしていきます。

4.1 給付金に関する注意点

添付書類

年金機構が給付金の対象となるかどうかを確認する際には、市町村が保有する所得情報を確認します。そのため、申請者自身が書類を添付することは原則として不要です。

ただし、年金機構の方で所得が確認できない場合など、追加での添付を求められる可能性もあります。

支給停止の可能性

申請は1回行うことで、2年目以降の申請は不要ですが、支給要件を満たさなくなった場合には、給付金の支給は停止され「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送付されます。

支給額の改定

支援給付金の給付額は、物価の変動等により毎年度、改定の可能性があります。改定された場合は、受給者に対しては「支給金額改定通知書」が届きます。

支給方法

給付金は年金額の上乗せという位置付けですが、振込みは年金とは別になります。同一の口座に、同一の日時ではありますが、2つの振込みが行われることになります。

5. まとめにかえて

年金生活者支援給付金は、経済的に苦しい状況にある年金受給者を経済的に支援するための重要な制度です。受給対象者に該当する可能性がある方は、送られてくる通知をしっかりと確認し、請求漏れのないように注意しましょう。

該当であるはずなのに年金機構からの通知が届かない場合には、お近くの年金事務所に問い合わせをしてみてください。

政府の生活支援制度を有効に活用することにより、生活の安定に繋げることができるはずです。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料