国際的な原材料価格の高騰や円安の影響により、国内でも物価上昇が続いています。
日頃、ファイナンシャルアドバイザーとしてお客様のお金の相談を受ける中で、日本円で資産を持ち続けることに不安を感じる方が増えているのを実感します。
現役世代では、物価上昇のスピードには追いついていないものの、賃上げのニュースを目にする機会があります。しかし、すでに収入の大部分を年金に頼っている方々にとっては、これまで築いてきた資産の寿命を延ばすことが重要な課題となっています。
そこで今回は、60歳代の二人以上世帯の貯蓄額や、いまどきシニアの年金受給額について解説していきます。
1. 【最新データ】60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情《平均・中央値・個人差》を見る
2024年12月18日、金融経済教育推進機構（J-FLEC）は（「家計の金融行動に関する世論調査［二人以上世帯調査］（令和5年）」を公表しました。
今回はここから、60歳代の二人以上世帯の貯蓄事情を眺めていきます。
※なおこちらのデータは金融資産を保有していない世帯、すなわち「貯蓄ゼロ世帯」も含まれています。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 【60歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値
- 平均：2033万円
- 中央値：650万円
1.2 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄額ごとの世帯割合（金融資産を保有していない世帯を含む）
- 金融資産非保有：20.5％
- 100万円未満：6.5％
- 100～200万円未満: 5.3％
- 200～300万円未満: 3.7％
- 300～400万円未満: 3.1％
- 400～500万円未満: 3.1％
- 500～700万円未満: 6.3％
- 700～1000万円未満: 5.3％
- 1000～1500万円未満: 8.9％
- 1500～2000万円未満: 5.8％
- 2000～3000万円未満: 8.0％
- 3000万円以上: 20.0％
- 無回答：3.6％
60歳代・二人以上世帯では、「貯蓄3000万円以上の世帯」が20.0％存在する一方、「貯蓄ゼロ＝金融資産非保有世帯」も20.5％にのぼります。
このように、それぞれがほぼ同じ割合で存在しており、「資産を持つ世帯」と「持たない世帯」が二極化していることが分かります。
次に、厚生労働省の資料をもとに、いまどきシニアの年金事情についても詳しく見ていきましょう。
