3. 60歳から65歳までの生活費を準備する方法
前章で計算したように、60歳で定年退職し65歳から年金受給するまでの間に必要な生活費は、約1410万円です。退職金を使わない場合、現役のうちから資金を準備しておく必要があります。
準備方法として、主に次のようなものが挙げられます。
- 先取り貯蓄
- 生命保険会社の個人年金保険
- NISAやiDeCo など
先取り貯蓄とは、毎月の収入から一定金額を先に貯蓄に回す方法のことです。給料日に引き落とし日を設定すると、給与が振り込まれてすぐに引き落しされるため、自動的に貯蓄ができます。
生命保険会社が取り扱っている個人年金保険は、受取金額や受取開始時期、金額などを契約時に決められるため、60歳から年金受給開始までのつなぎ年金として活用可能です。ただし、年末調整や確定申告で生命保険料控除を申告する際には、年金受取期間が10年以上あることが条件のひとつとなっているため、受給期間を5年間にすると適用できません。また、保険料払込期間が10年以上必要という条件もあるため、あわせて注意してください。
積極的に老後資産の準備をしたい方は、NISAやiDeCoといった税制優遇措置のある投資商品を利用する方法があります。預貯金よりは効率よく資産を増やせる可能性がある一方、元本割れリスクもあることから、取り組む際にはリスクや注意点について十分に理解することが大切です。
4. まとめにかえて
60歳から65歳までの5年間は、平均で約1410万円の生活費がかかり、退職金の金額によっては生活費をカバーすることが可能です。しかし、65歳以降の年金生活になると、年金だけでは生活できない可能性があるため、退職金はいざというときのためにできるだけ残しておくことが望ましいといえます。
60歳から65歳までの間の生活費は、今回ご紹介したような方法で別途準備し、ゆとりある老後生活を送れるように計画的に資産形成をしていきましょう。
参考資料
木内 菜穂子