2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決・成立しました。

今回の改正では、多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルに対応した年金制度の整備が進めるものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配を強化することで、シニア世代の生活を支えることも大きな目的のひとつです。

主な改正内容は以下のとおりです。

社会保険の加入対象の拡大

  • 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする

在職老齢年金の見直し

  • 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする

その他の見直し

  • 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
  • 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど

このように、公的年金制度は「老後にいくらもらえるか」だけでなく、現役世代の働き方やキャリア、将来のライフプランとも深く関係していることが分かります。

なお、厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表」によると、2023年時点の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.14歳となっています。

働き続けるシニアを支える仕組みは少しずつ整備されていますが、一方で、医療費や介護費といった支出が増える時期でもあり、健康や生活への不安を抱える人も少なくありません。

そのため、年金だけに頼るのではなく、貯蓄を計画的に活用しながら、生活を安定させることがこれからますます重要になってきます。

この記事では、70歳代世帯の貯蓄の実態やシニア世帯の生活費について、具体的なデータをもとに見ていきましょう。