厚生労働省の最新データ(令和6年度)によると、厚生年金の平均月額は15万289円。

しかし、都道府県別を見ると1位の神奈川県(17万457円)と最下位の青森県(12万8129円)で月額4万円以上(年間50万円以上)の差が存在します。

一見すると「住む地域によって年金額に格差がある」ように見えますが、事実は異なります。

このデータから読み解くべき「3つの構造的真実」と、今からできる現実的な対策を解説します。

1. この記事の3つのポイント

  •  地域差の正体は住まいではなく「現役時代の働き方や給与差」
  •  真の格差は地域より「男女差」や受給額の二極化にある
  •  平均に惑わされず「自分の受給見込額」を調べて対策する

2. なぜ「ベッドタウン」が東京より上位なのか?(地域格差の正体)

厚生年金額の上位・下位ランキングを見ると、ある特徴が浮かび上がります。

2.1 厚生年金の平均年金月額が「高い」都道府県【上位5都県】

  • 神奈川県:17万457円
  • 千葉県:16万5103円
  • 東京都:16万3892円
  • 奈良県:16万2292円
  • 埼玉県:16万1752円

2.2 厚生年金の平均年金月額が「低い」都道府県【上位5県】

  • 青森県:12万8129円
  • 沖縄県:12万8819円
  • 宮崎県:12万9224円
  • 秋田県:12万9503円
  • 山形県:13万1169円
  • 北海道:14万1069円
  • 青森県:12万8129円
  • 岩手県:13万2943円
  • 宮城県:14万4920円
  • 秋田県:12万9503円
  • 山形県:13万1169円
  • 福島県:13万6880円
  • 茨城県:15万2963円
  • 栃木県:14万9631円
  • 群馬県:14万8666円
  • 埼玉県:16万1752円
  • 千葉県:16万5103円
  • 東京都:16万3892円
  • 神奈川県:17万457円
  • 新潟県:13万8683円
  • 富山県:14万4644円
  • 石川県:14万1792円
  • 福井県:14万787円
  • 山梨県:14万4665円
  • 長野県:14万4668円
  • 岐阜県:14万9910円
  • 静岡県:15万1960円
  • 愛知県:16万766円
  • 三重県:15万1949円
  • 滋賀県:15万4456円
  • 京都府:15万1483円
  • 大阪府:15万6272円
  • 兵庫県:15万9086円
  • 奈良県:16万2292円
  • 和歌山県:14万5933円
  • 鳥取県:13万3459円
  • 島根県:13万3918円
  • 岡山県:14万6429円
  • 広島県:15万745円
  • 山口県:14万8166円
  • 徳島県:13万4131円
  • 香川県:14万4026円
  • 愛媛県:14万301円
  • 高知県:13万2202円
  • 福岡県:14万5822円
  • 佐賀県:13万4191円
  • 長崎県:13万6825円
  • 熊本県:13万2740円
  • 大分県:13万6507円
  • 宮崎県:12万9224円
  • 鹿児島県:13万3343円
  • 沖縄県:12万8819円
  • その他:13万3788円

2.3 注目すべきは「大都市周辺のベッドタウン」の強さ

東京(3位)をおさえ、神奈川(1位)、千葉(2位)、奈良(4位)、埼玉(5位)といったベッドタウンが上位を独占しています。

年金額は「住んでいる場所」ではなく、「現役時代にどこで・いくらの給与で働いていたか(報酬比例部分)」で決まります。

  • 大企業勤務者の居住地: 都心の大企業で高年収を得ていた層が、家を持っている郊外(神奈川・千葉・埼玉・奈良など)に定住して受給期を迎えている。
  • 産業構造の違い: 地方は一次産業や中小企業、自営業(国民年金メイン)の比率が高く、厚生年金の平均額を押し下げる要因になっている。

つまり、地域格差とは「受給地の差」ではなく、「現役時代の働き方・就業先の偏り」がそのまま反映された結果なのです。

3. 本当の「格差」は都道府県ではなく「男女差」と「受給額の二極化」

地域差以上に深刻なのが、性別による格差と個人差です。

  • 男性平均: 月額16万9967円
  • 女性平均: 月額11万1413円(男女差:約5万8000円/月)

※上記、平均年金月額は国民年金部分を含む

全体の分布を見ても、月に20万円以上もらえる人が約320万人(約20%)いる一方で、10万円未満の受給にとどまる人も約400万人以上(約27%)存在します。

【厚生年金の受給額分布イメージ】

  • 〜6万円未満    :短時間労働・受給期間短
  • 7万円〜12万円未満 :女性・中小企業メイン層
  • 13万円〜19万円未満:男性標準層
  • 20万円以上〜    :高年収・長期勤続層

女性の平均額が低い背景には、過去の結婚・出産に伴う離職や、扶養内パートでの就労形態が影響しています。現在、社会保険の適用拡大が進んでいる背景には、この「老後の女性の年金不十分問題」を解消する目的もあります。