2.1 65歳以降の生活は年金だけではカバーできない
65歳までの5年間は退職金で生活できても、65歳の年金生活に入ってからは、年金だけで生活費をカバーできない可能性があります。
前出の総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」 によると、65歳以上の高齢者世帯の毎月の支出額は、平均約25万6000円です。
日本年金機構の「令和6年4月分からの年金額等について」では、厚生年金の標準的な年金額は23万483円(※)とされています。
つまり、毎月の生活費は年金収入だけの場合、約2万5000円不足する計算になります。
寿命がいつまでなのかによりますが、仮に85歳まで生存した場合、65歳からの20年間で600万円(2万5000円×12カ月×20年)不足する可能性があるのです。これは生活費だけの話であり、入院や手術などをした場合や介護が必要になった場合、子どもに結婚・新築のお祝いをする場合など、お金が必要になるケースはほかにもあります。
こういった費用をすべて年金だけでカバーすることは難しいため、退職金を切り崩す生活をして良いものか、慎重に検討する必要があります。
※平均的な収入で40年間就業した場合に受け取れる年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準