4. シニアの就職を支援する「お金」は?

4.1 高年齢雇用継続給付金

高年齢雇用継続給付金には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」があります。

高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続給付は、定年後も働き続ける際、収入が減ってしまった65歳未満の方に対し、その減収分を補うための制度です。下記の条件を満たす場合に支給されます。

  • 基本手当(再就職手当など)を受け取っていない方
  • 60歳時点の賃金と比較して75%未満に減少している場合
  • 雇用保険の被保険者期間が5年以上ある
  • 60歳以上65歳未満の一般被保険者である

給付金は雇用保険の被保険者であれば、60歳に到達した月から65歳に達する月まで支給されます。また給付金額は、「支給対象月の賃金額」に賃金の低下率で算出された「支給率」を乗じて計算します。支給率は下記の図でご確認ください。

【早見表】高年齢雇用継続給付

【早見表】高年齢雇用継続給付

出所:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

高年齢再就職給付金

高年齢求職者給付金は、定年後などにいったん退職して基本手当を受給したのち、60歳以後に再就職した方に支給される給付金で、下記の全ての要件を満たした人に給付されます。

  • 同一の就職で再就職手当の支給を受けていない
  • 再就職後の毎月の賃金が「基本手当の基準となった賃金日額×30倍」の75%未満になった
  • 再就職した日の前日時点で基本手当の支給日数が100日以上残っている
  • 1年以上雇用されることが確実である
  • 60歳以上65歳未満の一般被保険者である
  • 基本手当についての算定基礎期間が5年以上ある

給付金額は「支給対象月の賃金額」に賃金の低下率で算出された「支給率」を乗じて計算します。

注意!給付により年金がストップする場合がある

年金を受け取りながら厚生年金保険に加入している方が給付を受けると、在職による年金の支給が停止されることがあります。最大で標準報酬月額の6%に相当する額なので注意が必要です。

【高年齢雇用継続給付の支給額&年金支給停止額の例】

高年齢雇用継続給付による年金支給停止の例

高年齢雇用継続給付による年金支給停止の例

出所:日本年金機構「失業給付・高年齢雇用継続給付の手続きをされた方へ」

60歳到達時点の賃金額:月額35万円
現在の賃金額:月額20万(賃金の低下率は約57%)
高年齢雇用継続給付:月額3万円(20万円×15%)※低下率57%なので支給率は15%
年金月額:10万円
年金支給停止額:1万2000円(20万円×6%)
賃金+高年齢雇用継続給付+年金=20万円+3万円+8万8000円=月額31万8000円

4.2 高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金は65歳以上の人が離職したとき、再就職するまでの生活を支援することを目的とした給付金です。この給付金を受け取るには下記の要件に該当する必要があります。

  • 65歳以上であること
  • 離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
  • 失業しており、働く意思と能力がある状態であること

高年齢求職者給付金は「基本手当日額×給付日数」で計算され、基本手当日額は、賃金日額(退職前6カ月の賃金合計÷180日)×給付率(50~80%)となります。※限度額あり

また、高年齢求職者給付金の給付日数は、被保険者として雇用されていた期間(保険に加入していた期間)によって異なります。

  • 被保険者であった期間が1年未満:30日分
  • 被保険者であった期間が1年以上:50日分

高年齢求職者給付金は失業手当と同様に待機期間があります。とくに自己都合で退職した場合は、7日間の待期期間以降、さらに2か月を経過するまで支給が開始されません(給付制限)。

また受給期限も離職日の翌日から1年なので、働く意思がある方は早めに手続きをおこないましょう。

5. 介護に関する制度は充実、自治体独自の支援も!

今回は、シニアを対象とした給付金や制度についてお伝えしました。

ご紹介した給付金や制度以外では、住宅改修に関する助成制度、交通費の補助、補聴器購入費用の補助などもあります。自治体が独自におこなっているサービスもあるので、知らなければ受け取ることができない可能性もあります。

できれば、自治体の広報誌などには目を通しておき、定期的に情報を得るようにしておくことをおすすめします。シニアに関する給付金は種類が多いので、うまく活用して役立ててくださいね。

参考資料