「伊藤忠商事の年収は実際どのくらいなのか?」
「非資源分野に強みを持つ総合商社で働くと、どれほどの待遇が得られるのか」と気になっていませんか?
伊藤忠商事(提出会社単体)の平均年間給与は1991万1534円で、前事業年度から10.3%上昇しました。
ただし、この数字はグループの戦略立案や企画管理を担う本社機能の少数精鋭(就業人員3078名)による実態を反映したものです。
本記事では、有価証券報告書のデータをもとに、平均年収の背景からセグメント別の従業員数、直近の経営方針まで詳しく解説します。
この記事を読めば、伊藤忠商事のリアルな処遇水準と事業構造がわかり、就職・転職やキャリア選択、株式投資の判断材料として役立ちます。
- 平均年間給与1991万1534円の背景:グループの戦略立案や企画管理を担う本社単体(就業人員3078名)の少数精鋭体制で算出されており、対前事業年度比10.3%の上昇となっている。
- セグメント別従業員数の内訳:連結従業員数11万4570名のうち、伊藤忠食品やファミリーマート等を擁する「食料」セグメントが3万677名と最大規模を占める。
- 経営方針「The Brand-new Deal」と業績動向:2024年4月に公表した経営方針のもと、2026年5月には累進配当・総還元性向40%以上の方針を明確化し、親会社株主に帰属する当期純利益は2023年3月期を底に3年連続で増加している。
1. 伊藤忠商事の平均年間給与はいくらか
伊藤忠商事(提出会社単体)の2026年3月31日時点における平均年間給与は、1991万1534円でした。
前事業年度比で10.3%の増加となっており、2000万円に迫る高水準です。
平均年齢は42.0歳、平均勤続年数は17年9か月です。
従業員数は4125名で、うち海外現地法人での勤務者や社外への出向者等を除いた実際の就業人員数は3078名となっています。
平均年間給与には、賞与や従業員持株会制度の特別奨励金が含まれます。
グループの戦略立案や企画管理機能を担う本社単体の少数精鋭体制が、この給与水準の背景にあるといえます。
2. 伊藤忠商事の従業員数は何人か
出所:伊藤忠商事株式会社「有価証券報告書 第102期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)」をもとにLIMO編集部作成
提出会社(単体)の就業人員数3078名を事業セグメント別にみると、繊維319名・機械425名・金属172名・エネルギー・化学品364名・食料415名・住生活232名・情報・金融251名・第8 42名・その他858名です(2026年3月31日時点)。
一方、連結の従業員数は11万4570名(臨時従業員の年間平均人員4万5459名を含む)です。
セグメント別では、伊藤忠食品や日本アクセス、ファミリーマート等を含む「食料」が3万677名と最大規模を占め、続いて「住生活」2万1046名、「情報・金融」1万9736名の順となっています。
過去5年間の推移をみると、連結従業員数は2022年3月期の11万5124名から2023年3月期に11万698名まで減少したのち増加に転じ、2025年3月期には11万5089名まで回復しました。
2026年3月期は11万4570名とわずかに減少しています。
提出会社単体の従業員数も、2022年3月期の4170名から2024年3月期には4098名まで減少したものの、その後は増加に転じ、2026年3月期は4125名となっています。
いずれも2022年3月期の水準には届いていません。
3. 過去5年間の業績推移
伊藤忠商事(連結)の業績推移も確認しておきましょう。
収益は2022年3月期の12兆2933億円から増加を続け、2026年3月期には14兆8231億円となりました。
売上総利益も同様に増加傾向で、2022年3月期の1兆9372億円から2026年3月期には2兆4805億円まで拡大しています。
投資家が特に注目する「ボトムライン」である親会社株主に帰属する当期純利益は、2022年3月期の8203億円から2023年3月期にいったん8005億円まで減少しました。
しかし2023年3月期を底に3年連続で増加し、2026年3月期には過去5年間で最高となる9003億円を記録しています。
4. まとめにかえて
年収や給与といった金銭面での条件は仕事をする人にとっては誰もが気になる要素ではないでしょうか。
金銭面での処遇以外にも、働きがいや働きやすさといった職場環境が大事なのは言うまでもありません。
ただ、年収や給与などの「お金」の話は親しい仲でも聞きにくいというのが実際ではないでしょうか。
こうしたデータが就職活動や転職活動の参考になれば、幸いです。
4.1 【注意点】有価証券報告書における年間平均給与及び従業員数について
平均年間給与は、賞与及び従業員持株会制度の特別奨励金を含んでいます。
また、従業員数は、休職者及び定年後再雇用等の有期雇用従業員を除いて算定されています。
4.2 【ご参考】有価証券報告書とは
日本取引所グループによれば、金融商品取引法に基づく法定開示として、財務内容や事業・営業の概要を記した有価証券報告書を各地財務局に提出することが上場企業に義務付けられており、その内容は金融庁のEDINETで誰でも閲覧できるとされています。
5. 本記事の監修を終えて:新NISAで資産運用を行う元FP会社職員の監修者コメント
有価証券報告書に示された「平均年間給与1991万1534円」という数字は非常に高水準に見えますが、ファイナンシャルプランニングの視点からは、この数値が伊藤忠商事という会社全体ではなく、実際に事業を担う「提出会社(単体)」の従業員(就業人員3078名)を対象に算出されている点に注意が必要です。
総合商社は事業投資先やグループ会社に多くの人員を配置する構造であるため、単体の平均給与だけを見て「グループ全体の待遇水準」と誤解しないことが重要です。就職・転職活動においては、応募先が「伊藤忠商事本体」なのか、それとも連結対象の事業会社なのかによって、給与水準や評価制度が大きく異なる可能性がある点を踏まえたキャリア設計をおすすめします。
一方、投資家目線で見ると、伊藤忠商事は2024年4月に、従来の中期経営計画に代えて恒久的な経営方針「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」を公表し、業績の向上・企業ブランド価値の向上・株主還元の3本柱を掲げています。2026年5月には株主還元方針として「累進配当」を明確化し、総還元性向40%以上を目指す姿勢を示しました。親会社株主に帰属する当期純利益が2023年3月期を底に3年連続で増加し、2026年3月期には過去5年間で最高となる9003億円を記録している背景には、こうした川下(生活消費分野)を中心とした事業ポートフォリオの強化があると考えられます。
新NISA等を通じて長期的な株式投資を検討する際は、平均年収のような単一の指標だけでなく、株主還元方針の明確さや利益成長の持続性、事業ポートフォリオの構造といった多角的な視点から企業を評価することが大切です。伊藤忠商事のように、就職・転職の材料としても、資産形成の材料としても活用できるデータを、積極的に読み解いていただければと思います。
参考資料
- 伊藤忠商事株式会社「有価証券報告書 第102期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)」
- 伊藤忠商事株式会社「2025年度 決算実績・2026年度 経営計画説明資料」
- 日本取引所グループ「3-2.上場会社とは②~上場会社の情報開示~」
マネー編集部年収班
