4. 年金「月額30万円以上」が受給できる人の現役時代の平均年収
厚生年金の受給額を決める計算式は、「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で異なります。2003年4月以降は「賞与」からも年金保険料が引かれるようになった点は大きな違いと言えるでしょう。
- 2003年3月以前の加入期間：平均標準報酬月額×（7.125/1000）×2003年3月以前の加入月数
- 2003年4月以降の加入期間：平均標準報酬額×（5.481/1000）×2003年4月以降の加入月数
ここでは、2003年4月以降に厚生年金に40年間加入したと仮定して年収目安を計算してみましょう。なお、国民年金は満額の78万円を受け取れることにします。
年金を「月額30万円」、「年間360万円」を受給するためには、国民年金78万円を差し引き、厚生年金として282万円受給することとなります。
平均標準報酬月額は下記のように計算します。
- 平均標準報酬額×5.481/1000×480カ月（40年間）＝282万円（1年間の国民年金を差し引いた厚生年金の受給額）
- 平均標準報酬額＝約107万円
平均標準報酬月額は約107万円なので、年間の報酬は約1284万円。
つまり、40年間の平均年収が「約1284万円以上」であれば、理論上は「月額30万円」の年金を受給できると言えます。なります。
4.1 若い時代の年収が低くてもこれからリカバリーできるのか
極端な例ではありますが、「若いときは年収が低くても、役に就いたことで年収が2000万円を超えた」というケースであれば、40年間の平均年収が1284万円となる可能性もあるでしょう。
しかし、厚生年金を決める標準報酬月額と標準賞与額には、次のような上限があります。
- 標準報酬月額の上限：65万円
- 標準賞与額の上限：150万円
つまり、収入がこのラインを超えた場合は、残念ながら頭打ちになるということです。
あとから年収アップするのではなく、最初から年収約1284万円を維持する必要があるとなれば「年金ひと月30万円」に到達できる人はかなり希少な存在であると言えるでしょう。
