年金制度の中には、専業主婦(夫)が保険料を負担せずに加入できる「第3号被保険者制度」があります。

専業主婦(夫)世帯を優遇する制度で、働き控えの要因となっている旨の意見もあり、厚生労働省では第3号被保険者制度の見直しが議論されています。

具体的な案は出ていないものの、将来的に第3号被保険者制度の廃止が行われるかもしれません。

今回は、専業主婦(夫)が知っておくべき年金制度の仕組みについて解説します。

1. 年金制度の概要を確認

日本の公的年金制度である「国民年金」は、年齢や職業などによって「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類に分かれています。

  • 第1号被保険者:農業者、自営業者、学生、無職の人など
  • 第2号被保険者:会社員、公務員など
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されていて年収130万円(特定適用事業所の場合は106万円)未満の配偶者

1.1 第3号被保険者とは

【写真全3枚中1枚目】公的年金制度の種類。2枚目以降、共働き世帯数と専業主婦世帯の推移について解説1/3

公的年金制度に種類

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

第3号被保険者に該当するのは、第2号被保険者に扶養されている配偶者です。

自ら保険料を負担することなく、65歳以降に老齢基礎年金を受け取れることから、単身世帯や共働き世帯よりも優遇されているという指摘がされています。

また、昨今は専業主婦(夫)世帯よりも共働き世帯が多いことから、そもそも第3号被保険者制度の必要性が薄れているのではないか、という意見もあります。

共働き世帯数と専業主婦世帯の推移2/3

共働き世帯数と専業主婦世帯の推移

出所:厚生労働省「第3号被保険者制度について」

次の章では、社会保障制度を維持するための加入対象の拡大について解説していきます。

2. 制度を維持するために社会保険の適用拡大が進められている

日本では少子高齢化が進んでいます。

状況を放置すると、年金受給者や給付対象者が増え続け、負担者が減少するため、制度の維持が困難になりかねません。

そこで、政府は段階的に社会保険の加入対象者を拡大し、保険料の払い手を増やそうとしています。

2024年10月より社会保険の加入対象者が拡大するため、パートやアルバイトで働いている方の中には、新たに第2号被保険者となる人もいるはずです。

第3号被保険者に該当するための条件が厳しくなり、将来的に第3号被保険者制度そのものが廃止される可能性が考えられます。

3. 第3号被保険者制度が廃止されたときの影響

第3号被保険者の廃止は決定しているわけではありません。

現段階では議論されている状況に過ぎないため、明確な廃止時期は未定です(そもそも廃止されない可能性もあります)。

仮に第3号被保険者制度が廃止されると、どのような状況変化が起こるでしょうか。

第2号被保険者に該当しない場合は、自治体の役所にて第1号被保険者へ切り替えるための手続きが必要です。

また、自分で国民年金保険料を納めなければなりません。

3.1 国民年金保険料の負担が発生

令和6年度における国民年金保険料は毎月1万6980円で、年に換算すると約20万円の保険料負担が発生します。

それまで負担がゼロだった状況から20万円の負担増になるため、家庭によっては大きな影響が出るでしょう。

「絶対に扶養を抜けたくない」と思う方がいるかもしれませんが、実は扶養に入るための就業調整を行わず、可能な範囲で働くことがベストな選択となる家庭もあります。

第2号被保険者に該当すれば、基礎年金だけでなく厚生年金も受給できるため、老後生活の経済的な安定につながります。

健康保険の保障が充実するというメリットもあります。

平均寿命が延びている状況を考えると、可能な限り働いて多くの収入を得るほうが安心感は大きいはずです。

優れたスキルや能力を持っているにも関わらず、扶養に入りたいがために就業調整を行うのは社会的にも損失といえるでしょう。

一方で、育児や介護、配偶者の転勤の有無などで、就業調整をせざるを得ない家庭も少なくありません。今後の制度の動向にはアンテナをはっておきましょう。

4. まとめにかえて

第3号被保険者制度の廃止は決定していませんが、将来的には廃止が実現する可能性もゼロではありません。

仮に実現すると年間約20万円の保険料負担が発生するため、家計に影響を与える点を押さえておきましょう。

将来の長生きリスクに備えるうえでも、扶養に入る働き方のみではなく、年収の壁を超える「メリット・デメリット」を押さえておくことが大切です。

参考資料