3.1 国民年金保険料の負担が発生
令和6年度における国民年金保険料は毎月1万6980円で、年に換算すると約20万円の保険料負担が発生します。
それまで負担がゼロだった状況から20万円の負担増になるため、家庭によっては大きな影響が出るでしょう。
「絶対に扶養を抜けたくない」と思う方がいるかもしれませんが、実は扶養に入るための就業調整を行わず、可能な範囲で働くことがベストな選択となる家庭もあります。
第2号被保険者に該当すれば、基礎年金だけでなく厚生年金も受給できるため、老後生活の経済的な安定につながります。
健康保険の保障が充実するというメリットもあります。
平均寿命が延びている状況を考えると、可能な限り働いて多くの収入を得るほうが安心感は大きいはずです。
優れたスキルや能力を持っているにも関わらず、扶養に入りたいがために就業調整を行うのは社会的にも損失といえるでしょう。
一方で、育児や介護、配偶者の転勤の有無などで、就業調整をせざるを得ない家庭も少なくありません。今後の制度の動向にはアンテナをはっておきましょう。
4. まとめにかえて
第3号被保険者制度の廃止は決定していませんが、将来的には廃止が実現する可能性もゼロではありません。
仮に実現すると年間約20万円の保険料負担が発生するため、家計に影響を与える点を押さえておきましょう。
将来の長生きリスクに備えるうえでも、扶養に入る働き方のみではなく、年収の壁を超える「メリット・デメリット」を押さえておくことが大切です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「第3号被保険者制度について」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点2」
柴田 充輝