2. 紙幣デザイン変更のねらい

導入にはコストが多くかかる新紙幣。一見メリットがあまりないように見えますが、今回の紙幣更新の狙いはどこにあるのでしょうか。

様々な狙いが考えられますが、今回は2つほど見ていきます。

2.1 紙幣デザイン変更のねらい①キャッシュレス化の推進

1つ目はキャッシュレス化の推進です。

諸外国と比べて低いといわれる日本のキャッシュレス決済普及率ですが、現状はどれくらいの利用率なのでしょうか。

経済産業省の資料から見ていきましょう。

2023年のキャッシュレス決済比率は堅調に上昇し、39.3%となりました。

内訳は、クレジットカードが83.5%、デビットカードが2.9%、電子マネーが5.1%、コード決済が8.6%でした。

<キャッシュレス決済の利用率推移>

  • 2017年:21.3%
  • 2018年:24.1%
  • 2019年:26.8%
  • 2020年:29.7%
  • 2021年:32.5%
  • 2022年:36%
  • 2023年:39.3%

政府は2019年に「2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」としており、目標値に向けて順調に推移していることが見受けられます。

ただし、一般社団法人キャッシュレス推進協議会によると、日本のキャッシュレス決済比率はまだ低位に位置しています。

世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2021年)

【キャッシュレス決済】世界の中での日本は?

出所:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「「キャッシュレス・ロードマップ2023」を公表しました」

最上位の韓国ではじつに95.3%がキャッシュレス決済を利用しており、キャッシュレス決済比率4割を達成したあとも継続したキャッシュレス推進が進んでいくでしょう。