2. 児童手当・扶養控除の改正案

扶養控除は、現在以下のような改正案が検討されています。

扶養控除の改正案

扶養控除の改正案

出所:財務省「令和6年度税制改正の大綱の概要」をもとに筆者作成

〈改正前の控除額〉

  • 所得税:38万円
  • 住民税:33万円

〈改正後の控除額〉

  • 所得税:25万円
  • 住民税:12万円

財務省によれば、現行の控除額を、かつて16〜18歳も対象としていた特定扶養控除の上乗せ分(国税25万円・地方税12万円)に置き換えることを想定しています。

最終的な結論は、2025年度の改正をもって公表される予定です。控除額は10万円以上も減少するため、一見すると大きな改悪とも考えられます。

なぜ政府は扶養控除額を引き下げようとしているのでしょうか。これは、児童手当の拡充により、全世代がバランスよく控除や給付を受けられるようにするためです。

児童手当は、2024年10月1日に改正されます。児童手当の改正ポイントは、以下のとおりです。

児童手当の改正ポイント

児童手当の改正ポイント

出所:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」

  • 所得制限の撤廃
  • 支給期間を中学生から高校生年代(18歳に到達した年度の3月31日)まで延長
  • 第3子以降の支給額が1万5000円から3万円に増加
  • 支払月を年3回から年6回に増加

児童手当では、それまで定められていた所得制限が20204年10月から撤廃されます。また、支給期間を中学生までから18歳になる年度末までと約3年間延長、第3子の支給額アップ、支給回数の増加など大幅な拡充がされる予定です。

子どもが高校卒業後社会に出るまでの間、毎年2ヶ月に1回のペースで手当が支給されることとなるため、手当の受給総額は大幅に増えると考えられるでしょう。

政府は扶養控除と児童手当をセットで改正することで、子育て支援の拡充を狙っているのです。では、実際に扶養控除が縮小されると、手取り収入額はどれくらい変わるのでしょうか。高校生のいる世帯を例に計算してみましょう。