6月下旬、1年の折り返し地点を迎える一方で、今後の生活設計において社会保険料の動向は重要な関心事です。厚生労働省が公表した令和8・9年度の後期高齢者医療制度の保険料率見込みでは、医療費増加に伴う引き上げや、今後の制度改正の動向が明らかになりました。
今回はこの公表結果をもとに、最新の保険料見込みや地域ごとの負担格差、そして新たに導入される高額療養費制度の見直しについて解説します。
1. 【後期高齢者医療保険料】一人当たり平均「月額7989円」前改定時より+7.8%増額
令和8・9年度の後期高齢者医療保険料(医療分)は、一人当たり全国平均で月額7,989円となる見込みです。これは令和6・7年度の7411円から578円(7.8%)の増加となります。
1.1 負担増の主な理由は「医療費の増加」と「負担割合の引き上げ」
保険料が上昇する主な要因は、一人当たり医療給付費が約4.89%増加することや、医療給付費のうち後期高齢者が負担する割合が13.27%へ引き上げられたことです。一方で、過去の剰余金の活用や財政安定化基金からの交付を通じて、保険料の急激な増加を抑える工夫もされています。
2. 【後期高齢者医療保険料】都道府県別ランキング「保険料が高い・安い」トップ5をみる
後期高齢者医療保険料は、各都道府県の「後期高齢者医療広域連合」ごとに定められており、地域の実情や医療給付費の伸び率などによって金額に大きな差が生じています。
2.1 「保険料が高い」都道府県トップ5(医療分・月額見込み)
- 東京都:1万352円
- 神奈川県:9842円
- 愛知県:9045円
- 大阪府:9010円
- 沖縄県:8731円
2.2 「保険料が安い」都道府県トップ5(医療分・月額見込み)
- 青森県:4990円
- 岩手県:5496円
- 福島県:5744円
- 秋田県:5847円
- 新潟県:5852円
最も高い東京都と最も低い青森県では、月額5362円と2倍以上の開きがあります。住む地域によって負担額が大きく異なる点には、あらかじめ着目しておきたいところです。
3. 【令和8年8月改定】「高額療養費制度」年間上限を新設して長期治療による家計圧迫を防ぐ
医療費の窓口負担が1カ月で一定の金額を超えた場合、その超えた分が後から支給(払い戻し)され、最終的な負担を軽くしてくれるのが「高額療養費制度」です。この制度では、年齢や所得に応じて毎月の自己負担額の上限があらかじめ決められているため、万が一大きな病気やケガで医療費が高額になっても、個人の負担は一定の範囲内に抑えられます。この安心な制度を将来にわたって維持するため、令和8年8月から負担能力に応じた見直しが行われます。
3.1 長引く治療の負担を抑える「年間の自己負担上限」が新設
今回の改定の大きな特徴は、一部で毎月の負担額が引き上がる代わりに、長引く治療の負担を抑える「年間の自己負担上限」が新設される点です。
これまでは「1カ月ごと」の限度額が基本だったため、何カ月も治療が続くと支払いが積み重なって家計を圧迫することがありました。新制度では、月ごとの自己負担がこの新しい年間上限額に達した後は、その年の残りの期間、対象となる医療費の窓口負担が不要になります(※入院時の食事代などは除きます)。
4. まとめにかえて
今回は、公表された後期高齢者医療制度の保険料率の見込みをもとに、今後の保険料の引き上げや高額療養費制度の見直しについて解説しました。医療費の増加に伴い、全国平均で月額7989円への引き上げが見込まれており、ご自身の家計への影響が少し心配になるかもしれません。
さらにお住まいの地域によって保険料に大きな格差があることも分かり、我が街の負担額を身近に感じられたのではないでしょうか。しかし、今回の改定では長期の治療を支える年間の自己負担上限が新設されるなど、生活を守るための工夫も取り入れられています。
今後の暮らしをより安心なものにするために、まずは自治体から届く案内をしっかり確認することから始めてみてはいかがでしょうか。早めに正しい情報をキャッチしておくことで、これからの生活への備えも前向きに進めていくことができます。少しずつの準備が、将来の大きな安心へとつながっていくはずです。まずは身近な情報に目を向けて、一歩を踏み出してみましょう。

