4. 年収別でいくら差益がでるのかシミュレーション
上記の計算をもとに、年収100万円の非課税世帯から年収1800万円の世帯までで手取り額の差額をシミュレーションします。結果は、以下のとおりでした。
〈差額〉
- 100万円:6万円
- 300万円:3万2500円
- 500万円:2万6000円
- 700万円:1万3000円
- 1000万円:1万3000円
- 1300万円:▲3900円
- 1500万円:▲3900円
- 1800万円:▲1万3000円
収入が1000万円程度であれば、扶養控除・児童手当が改正された後のほうが手取り金額が増えています。
1000万円を超えてくると所得税率などの上昇が大きくなるため、児童手当が拡充されても手取りの減少は避けられません。収入1000万円以下の人であれば、改正の恩恵を十分受けられるといえるでしょう。
5. まとめにかえて
扶養控除の改正は金額が減少するため悪目立ちしがちですが、児童手当の拡充により、実際に計算してみると改正後のほうが手取り金額が増える形となりました。
毎月の給与明細に載る数字こそ今までより小さくなりますが、2ヶ月に1回となる児童手当の支給回数増加は、子育て世代にとって非常に有用な改正となりそうです。
より税額を下げるのであれば、iDeCoを使って小規模企業共済掛金等控除を適用するといった工夫もしてみましょう。
掛金は制度改正による手取り金額の増加分を使うと、計画的な掛金拠出が可能です。手取り増をきっかけに、生活支出を見直してみるのもよいかもしれませんね。
参考資料
- 財務省「令和6年度税制改正の大綱の概要」
- 財務省「扶養控除の見直しについて(22年度改正)」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1199 基礎控除」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 東京都主税局「個人住民税」
石上 ユウキ