5. 年金世帯や低所得者世帯へ「追加の給付金」秋ごろに実施へ
記者会見において、岸田総理は「物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援することを検討いたします。」と明言しました。
支援の実施は秋ごろを予定しているとのことで、今後の追加発表に注目が集まっています。
また、8月~10月の電気・ガス料金を補助する「酷暑乗り切り緊急支援」も行われるほか、以下の施策も同時に進められています。
- 学校給食費等の保護者負担の軽減
- 飼料高騰などの影響を受ける酪農経営などの農林水産業、中小企業、医療・介護、保育、学校施設、公衆浴場、地域公共交通、物流、地域観光業等に対する物価高騰への幅広い支援
国や自治体による支援が話題になることも多く、なかには「住民税非課税世帯がうらやましい」という論調になることもありますが、給付があるから生活が楽だとはいえません。
次章にて、FPである筆者が解説します。
6. 住民税非課税世帯が行う老後の備え
今回は住民税非課税世帯に注目してみましたが、これを機に自身の生活状況についても考えてみましょう。
もし所得の減少などで住民税非課税世帯に該当すれば、住民税は免除され、給付金が受け取れる可能性はあります。
しかし、所得が少ないため余裕のある生活を送ることは難しいでしょう。
特に老後では、健康を害してしまうリスクが高まります。
一度でも入院や手術があったとしたら、家計に大きなダメージを負ってしまいます。こうしたリスクに備えるのであれば、たとえば保障が変わらない終身医療保険に加入しておくことも一つです。
もちろん毎月の保険料がかかるので、その分の負担は増えます。家計に余裕がないと捻出が難しいですが、「少ない掛金で大きなリスクに備える」と考える人にとっては、生命保険も一つの選択肢になりうるということです。
最近では保障を最小限にしぼって、月々1000円未満で加入できるタイプのものもあります。
ただし、多くの保険は掛け捨てであることや、毎月の固定費があがることなどには十分注意が必要です。
7. まとめにかえて
今回の例で、住民税非課税世帯には高齢者が多いことがわかりました。
今後の物価の高騰で、高齢者の生活がさらに苦しくなる可能性もあるでしょう。
また、物価の高騰以外に自身の健康状態の悪化や突発的な支出増により、生活が苦しくなる可能性もあります。
住民税非課税世帯に該当する高齢者世帯は少なくありません。老後の生活を不安に感じた方は、今のうちから老後に向けた備えを少しでも増やしておきましょう。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 杉並区「令和6年度新たな住民税非課税世帯等に対する物価高騰対策支援給付金(10万円)の支給(6年7月23日更新)」
杉田 有毅