5. 失業保険(雇用保険の基本手当)との違い

高年齢求職者給付金と似たような制度に、いわゆる「失業保険」と呼ばれる、雇用保険の「基本手当」があります。高年齢求職者給付金と基本手当にはいくつか違いがありますが、中でも注目すべき点は以下の3点です。

  • 受給年齢
  • 受給額
  • 失業認定

基本手当は、雇用保険に加入している65歳未満の人が離職した際に支給される手当です。

一方、高年齢求職者給付金は雇用保険に加入している65歳以上の人が離職した際に支給されます。

そのため、65歳未満で高年齢求職者給付金は受け取れず、65歳以降は基本手当が支給されません。

また、受給額にも違いがあります。高年齢求職者給付金は、最高で基本手当日額の50日分が支給されます。

一方、基本手当は90日〜330日まで給付が受けられます。基本手当のほうが支給期間が長い分、受給金額が多い場合があるのです。

そして、失業認定についても違いが見られます。高年齢求職者給付金は給付時に失業していることが認められれば、支給されます。

一方、基本手当は4週間に1回ハローワークへ赴き「失業の認定」を受けなければなりません。高年齢求職者給付金のほうが、手続きの手間がかかりません。

6. 高年齢求職者給付金の申請方法

高年齢求職者給付金の申請は、ハローワークで行います。申請手順は、以下のとおりです。

  1. ハローワークで離職票の提出と求職の申し込みをする
  2. 待機・給付制限期間の経過を待つ
  3. 待機・給付制限期間経過後にハローワークで失業の認定を受ける

退職後は、すぐに自治体を管轄するハローワークに行き離職票の提出と求職の申し込みをしましょう。

給付金は、離職票の提出と求職の申し込みをした日から最低7日間経過しないと支給されません。

給付金の受け取りを考えているのであれば、退職日の翌日にはハローワークに出向きましょう。

離職票提出と求職申し込みが完了すると、待機期間や給付制限期間の経過を待つ必要があります。

給付金の支給には、どのような理由で退職したとしても最低7日間の待機期間を経過していなければなりません。また、自己都合で退職した場合はさらに2ヶ月、自身に責任のある重大な理由によって解雇された場合は3ヶ月の給付制限期間の経過が必要です。

待機・給付制限期間中に再就職が決まった場合、給付金は支給されません。

待機・給付制限期間を過ぎたら、再度ハローワークに行きましょう。ハローワークで失業の認定を受ければ、給付金の支給が決定します。

6.1 給付金申請時の注意点

給付金申請時の注意点として「受給期限があること」をおさえておきましょう。給付金の受給期限は離職日の翌日から1年間です。

1年を過ぎると、たとえ給付金の支給が決定していても、期限を過ぎた分は支給されません。

給付金の支給までは待機・給付制限期間の経過を含み、人によっては3ヶ月以上の時間がかかります。

手続きが遅れて本来受け取れるお金がすべて受け取れなくなってしまうのはもったいないため、早めに給付金の支給手続きをしておきましょう。

7. まとめにかえて

高年齢求職者給付金は、65歳以降も働き続けたい人にとって頼りになる給付制度です。年金と併給もできるため、離職後の仕事探しも安心してできます。

一方、給付額の計算や支給手続きは複雑です。特に給付金の支給手続きには、時間がかかります。退職後はすぐに手続きをして、早く給付を受けて次の仕事探しにつなげるようにしましょう。

参考資料

石上 ユウキ