給料と給与はどう違う?給与明細のチェックからふるさと納税まで

はじめに

生活していくうえで、お金はとても大切なものです。特に、多くの人の収入源である給料については、多くの人が、いくらもらえるのかを基準に働く場所を選んでいます。しかし、それだけ大切なことにもかかわらず、会社から提示される給与明細に全く目を通していない人や、そもそも基本的な、給料と給与の違いも分からないという人は、意外に多いのではないでしょうか?この記事では、給料と給与の違い、そして給与明細とはどのようなものなのかといった点について、紹介していきます。

目次

1. 給与とは?給料との違いは?
2. 給与明細(給料明細)の計算結果をチェックしよう
3. 給与明細(給料明細)のチェック項目~勤怠・支給・控除~
4. 給与明細(給料明細)の間違いの有無のチェック
5. 給与明細(給料明細)とふるさと納税の関係
6. 給与明細(給料明細)と社会保険料
7. 給料(給与)は、仮想通貨での支給を希望してもいい?

1. 給与とは?給料との違いは?

同じように見える、給料と給与という言葉ですが、実は明らかな違いがあります。

・給料
会社の就業規則であらかじめ決められている正規の勤務時間働いたことに対する報酬のことを指します。一般的には、基本給という言葉で表されます。

・給与
所得税法28条に「俸給、給料、賃金、歳費、及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に関わる所得が給与所得」と定められているように、給料(基本給)に加えて、残業手当などの各種手当を含めた報酬の総額を指します。

つまり、給与という言葉は、給料よりも広い意味合いを持っているといえるのです。

なお、毎月の給料日に会社から振り込まれる金額は、一般的に「手取り」と呼ばれるものであり、給与から、社会保険料や所得税といったものを差し引いた金額となります。そして、その金額は給与のおよそ75.86%といわれています。

給料と給与を混同していると、「残業手当が想像していたよりも低い金額だった。」「社会保険料や所得税の金額が思いのほか高くてびっくりした。」ということが起きる可能性があります。これは、手当や控除の計算において、給料の金額を基準に計算するものと、給与を基準に計算するものがあるためです。あとで慌てることがないよう、両者のきちんと違いを理解しておくことをおすすめします。

また、給料・給与は、企業によっては、お金で支払われるとは限らず、物品で支給されることがあるという点にも注意が必要です。 

2. 給与明細(給料明細)の計算結果をチェックしよう

給料日になると、銀行口座に手取りの金額が振り込まれるとともに、会社から被雇用者に対して、書類が発行されます。これが、一般的には、給与明細書もしくは給料明細書と呼ばれるものになります。(給与と給料では言葉の意味が違いますが、給与明細書と給料明細書は、同じものを指していますので、この記事では、「給与明細(給料明細)」という呼称で統一することにします。)

企業によっては、紙ではなく、Webでの確認といった形で発行される給与明細(給料明細)ですが、これには、会社から支給される給料や手当、会社を経由して支払う所得税や社会保険料といった金額が詳しく記載されています。しかし、従業員の多くは、給料と給与、税金、保険料といった項目が、何がどのように関係しているのかわからず、中身をあまり確認することなく、破棄、または机の奥にしまっているというのが現状のようです。

近年では多くの場合、最終的な手取りの金額を算出し、給与明細(給料明細)を作成するのは、給与計算システムになります。このため、金額に間違いはないだろうと考えがちですが、たとえ、最終的な手取りの金額を算出し、給与明細(給料明細)を作成するのが、給与計算システムだったとしても、計算のおおもとになる、労働時間や残業時間、諸手当や天引きになる金額を入力するのは、企業の総務や経理の担当者、つまり人間です。しっかりと給与明細(給料明細)を確認しておかないと、もしかしたら、労総時間や残業時間の集計ミスや入力ミス、もしくは本来天引きされるはずがない金額が差し引かれているという可能性もなくはないのです。このため、給与明細(給料明細)を受け取ったら、各項目の金額が、自分の認識とあっているか、確認する習慣をつけることをおすすめします。

3. 給与明細(給料明細)の項目~勤怠・支給・控除~

給与明細(給料明細)を確認しましょう、といわれても、記載されている内容に対する知識がなく、何をどう見てよいのかがわからないという人も多いのではないでしょうか。まずは、そのような人のために、給与明細(給料明細)の大まかな内容について、見てみましょう。

給与明細(給料明細)は、「勤怠」「支給」「控除」という部分から構成されています。以下、それぞれの内容について説明します。

・勤怠
労働日数や時間に関する数値が記されている部分です。勤務日数、欠勤日数、遅刻早退、残業時間、有給消化数、有給残日数といった項目が、ここに含まれます。

・支給
給与の金額が記されている部分です。基本給、残業手当、役職手当や家族手当、通勤手当といった項目が、ここに含まれます。

・控除
額面給与から差し引かれる金額が記されている部分です。社会保険料や所得税、社内販売の購入代金など、企業が給与から差し引いて、従業員の代わりに一括して支払うといったものが、ここに含まれます。支払いとは異なりますが、企業によっては、財形貯蓄(給与天引きによる貯蓄)が、ここに含まれる場合もあります。

4. 給与明細(給料明細)のチェックポイント

先ほどは、給与明細(給料明細)は、「勤怠」「支給」「控除」という部分から構成されているという話をしました。では、次に、それぞれのチェックポイントについて、みてみましょう。

なお、給与明細(給料明細)に間違いを発見した場合、疑問に思う点があった場合は、速やかに会社の給与業務担当者に申し出るようにしましょう。

・勤怠
大きなチェックポイントとしては、残業時間、欠勤日数、遅刻早退でしょうか。特に、残業時間を申告制にしている企業の場合、残業時間の記録に間違いが発生しやすい傾向があります。通常残業と深夜残業とでは金額も異なってくるということもあり、これらの数値間違いは、給与の金額に大きく影響します。自分の認識とあっているか、しっかりと確認しましょう。

・支給
大きなチェックポイントとしては、基本給、残業手当以外の項目の内容と金額でしょうか。役職手当の金額を間違える企業は、まずありませんが、家族手当が扶養家族の人数によって決まる場合や、通勤手当が通勤距離や通勤手段によって決まるものであった場合、結婚、出産、引っ越しという生活の変化が、給与業務の担当者にきちんと伝わっていないと、正しい金額になっていないことがあります。また、給与の一部現物支給を採用している企業の場合、従業員側が「会社からもらった」と認識している物品が、実は給与の一部だった、なんてこともあるかもしれません。

給与の金額は、手取り金額の大小だけでなく、社会保険料や所得税の金額に大きく影響します。こちらも、自分の状況にあっているか、きちんと確かめるようにしましょう。

・控除
大きなチェックポイントとしては、社内販売の購入代金など、たまにしか発生しないものでしょうか。購入した覚えのないものが引かれている、金額が間違っているということがないか、きちんと確認しましょう。

社会保険料は、特殊なケースを除いて、基本的には年間通して一定額となります。この金額は、通常6月に決定されますが、給与金額の変動がないのに、前年に比べて急に増えたなどといったことがあれば、会社側に確認した方が良いでしょう。また、社会保険料は、加入している保険によって、支払う内容が異なってきます。自身がどれに加わり、どれだけ支払っているのかについては、きちんと把握しておくことをおすすめします。

所得税については、結婚や出産による扶養家族数の変動があれば、それが反映されているかを確認したほうがよいですが、こちらは多少の間違いがあっても、年末調整で正しい金額に計算しなおされることが殆どです。このため、毎月、一から計算してみるなどの、細かいチェックまでは、必要ないでしょう。

5. 給与明細(給料明細)とふるさと納税の関係

最近、自分の好きな自治体へ寄付を行い、その地方の特産品を返礼品としてもらうことができる、「ふるさと納税」が人気を集めています。つい、返礼品の内容にばかり目が行きがちなふるさと納税ですが、もうひとつ、大きなメリットがあります。

それは、ふるさと納税を行うことで、住民税と所得税の算出時に、寄付金額に応じた金額の控除を受けることができ、結果住民税と所得税の金額が安くなるという点です。

ただし、ふるさと納税を行ったからといって、それが自動的に住民税と所得税の計算に反映されるというわけではありません。寄付金控除として確定申告を行うか、または寄付をする自治体に対し、ワンストップ特例を利用する旨の申請を行う必要があります。また、確定申告ならば、所得税、住民税両方で控除を受けることができますが、ワンストップ特例だと、住民税のみの控除となる点についても、注意が必要です。さらに、6か所以上の自治体にふるさと納税を行った場合は、ワンストップ特例は利用できず、確定申告でないと、手続きができないという点も、頭に入れておいた方がいいでしょう。

なお、ふるさと納税をすることで優遇された税額が、給与明細(給料明細)の項目に直接的に反映されることはありません。というのも、所得税が安くなった分は還付という形で、直接指定した銀行口座に振り込まれますし、住民税については、居住する自治体側で、ふるさと納税を含めての計算が行われ、会社側は単純に、自治体から提示された最終的な計算結果を、給与明細(給料明細)の住民税の金額として載せるだけだからです。

ただし、住民税については、毎年6月に自治体から、計算結果と今後の徴収予定の金額を記した明細書を雇用主に対して、発行しています。ほとんどの場合、これが6月の給与明細(給料明細)と一緒に渡されることになりますので、ここにふるさと納税の金額が反映されているかを確認することで、住民税の控除が行われたかどうかを確認することは可能です。

6. 給与明細(給料明細)と社会保険料

給与明細(給料明細)の控除の項目において、大きな割合を占めるのが、社会保険料です。ひとくちに社会保険料といっても、実は様々な種類があり、所属する会社や職種によって、ひとりひとり加入するものが異なります。

以下、代表的な社会保険についてみてみましょう。

・公的医療保険
病気になったときに、診療費を一部負担してくれる保険です。一般的には、健康保険とよばれ、会社員の場合は、所属する会社が加入している健康保険組合に対して、保険料を支払います。なお、船員の場合は船員保険、公務員や教職員の場合は共済組合、自営業者や無職の人は国民健康保険が、これにあたります。

・公的年金
老後の生活を支えるために支給される年金です。厚生年金保険の適用を受けることができる会社に勤務している人は厚生年金、公務員や教職員の場合は共済年金、自営業者や無職の人は国民年金に加入します。

・介護保険
65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による要介護認定を受けた人が、給付やサービスを受けるための保険です。40歳から64歳の人が加入します。

・労働者災害補償保険(労災保険)
業務上または通勤中の災害により、労働者が負傷・疾病・障害・死亡の状態になったときに、被災労働者または遺族に所定の保険給付を行うための保険です。

・雇用保険
労働者の失業時に、生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給する保険です。

加入している保険の種類や支払った保険料の金額だけを見ると、「こんなに搾取して。」と、会社に対して憤りを感じる人もいるかもしれませんが、実は従業員が支払う保険料は、負担の割合は異なるものの正規の保険料の一部で、残りは会社側が支払いを負担してくれています。給与明細(給料明細)をチェックするときは、このことも念頭に置いて、確認するようにしてみると、会社に対する見方が少し変わるかもしれませんね。

7. 給料(給与)は、仮想通貨での支給を希望してもいい?

世界には様々な通貨があり、小切手や手形など、お金と同じ扱いをされている書類もあります。また最近では、仮想通貨と呼ばれる電子データも登場してきました。

さて、投資目的として利用する人が多い仮想通貨ですが、これを給料(給与)として使用するという考えがでてきています。では、実際に、給料(給与)の支給を、「仮想通貨で。」と希望した場合、実現は可能なのでしょうか?

実は、労働基準法には、賃金支払いの5原則が定められており、雇用主は、これに従って給料(給与)を従業員に支給する必要があります。このため、賃金支払いの5原則のうち、通貨払いの原則により、日本国内における給料(給与)は、日本銀行が発行する日本銀行券と造幣局が製造する政府発行の貨幣でなくてはいけないのです。

仮想通貨は、法律により、法定通貨と交換ができ、支払いの手段として活用できるものとして定義されています。ただし、法定通貨には当てはまらず、単純な資産とみなされるため、基本的には給料(給与)の支給に用いることはできません。

ただ、通貨払いの原則においては特例があり、会社側と従業員の間の労働協約で別段の定めをしている場合はその限りではないとされています。これによって、給料(給与)の現品支給などが行われているわけですが、仮想通貨も同様に、労働協約で通貨以外の支払いに応じると定めていた場合は、仮想通貨での支給を希望することも、可能といえば可能なのです。

おわりに

同じように扱われることが多い、給料と給与という言葉ですが、明確な違いがあるということがおわかりいただけましたでしょうか?

会社から提示される給与明細(給料明細)には、手取りの金額だけではなく、基本給、残業手当や役職手当などといった各種手当の金額、社会保険料や所得税などの控除額が詳しく記されています。本来もらうことができる金額よりも手取りが少なかった、ということがないよう、給与明細(給料明細)と月間または年間の活動記録を照らし合わせ、内容に間違いがないかを、しっかりと確認する習慣をつけることをおすすめします。

LIMO編集部

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。
LIMO編集部

LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に立ち上げ。その後Longineのサービスは2020年3月に終了となったが、Longine編集部のメンバーは引き続きLIMO編集部のメンバーとして在籍し、お金のプロとしてコンテンツ編集や情報を発信しています。LIMO編集部は、証券・金融業務メンバーに業界紙出身の新聞記者などもメンバーに加え、国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報をわかりやすくお届けします。