日本の老後の生活を支える厚生年金。今年は5年に1度の財政検証も行われ、大きな注目が集まっています。
厚生年金の平均受給額は約14万円と言われていますが、その額は一様ではなく、大きな格差が存在します。
というのも、厚生年金額は年金加入期間、そのときの年収などにより異なるからです。
今回は、厚生年金の受給額の分布を確認することで、受給額の格差の程度を探り、その対策について考えてみましょう。
1. 厚生年金の平均年金月額の現状・男性と女性では受取額の平均に「約6万円」の差
厚生労働省の「2022(令和4)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の男女合わせた平均年金月額は「14万3973円(基礎年金月額含む)」です。
そのうち男性は「16万3875円(基礎年金月額含む)」、女性は「10万4878円(基礎年金月額含む)」となっており約6万円の差があります。
【写真1枚目/全3枚】厚生年金の受給額(男女別)。次の写真で「年金を増やすヒント」をチェック1/3
出所:厚生労働省「2022(令和4)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
さらに詳しく、厚生年金の男女別の年金月額の分布を確認してみましょう。
1.1 男性の年金受給額:1060万440人
- ~5万円未満:8万7230人
- 5万円~10万円未満:98万1745人
- 10万円~15万円未満:265万4164人
- 15万円~20万円未満:457万6536人
- 20万円~25万円未満:207万3446人
- 25万円~30万円未満:21万5155人
- 30万円以上:1万2164人
男性の年金受取額で割合の最も多いのは「15万円~20万円未満」(457万6536人)、次いで「10万円~15万円未満」(265万4164人)です。
この2つで約7割を占めています。
一方、年金受取額が「25万円以上」は22万7319人と約2%にとどまっています。
1.2 女性の年金受給額:539万6261人
- ~5万円未満:24万2351人
- 5万円~10万円未満:232万2733人
- 10万円~15万円未満:233万1904人
- 15万円~20万円未満:43万7200人
- 20万円~25万円未満:5万8238人
- 25万円~30万円未満:3509人
- 30万円以上:326人
女性の年金受取額で割合の最も多いのは「5万円~10万円未満」(232万2733人)、次いで「10万円~15万円未満」(233万1904人)です。
この2つで約9割を占めています。
一方、年金受取額が「25万円以上」は3835人と極端に少なく0.07%という結果となりました。
女性は育児や介護などで労働市場から離れる期間があることが多く、正規雇用の機会も少ないため、年金加入期間が短くなりがちです。
その結果、男性と比べて平均受給額が低くなる傾向があります。
このように、老後に受け取る厚生年金の現状をみて、多くの人が老後の生活に対して不安を感じることでしょう。
次は、個人とし、自身の年金受給額を増やすためにできることをお話します。
2. 老後に受け取る厚生年金が少ない…と思ったとき個人ができる対策3つ
個人でできる老後に受け取る年金を少しでも多くするための対策は以下の3つです。
2.1 老後に受け取る年金を多くするための対策1:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入する
iDeCoは、毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された金融商品(定期預金・保険・投資信託など)を自ら運用する制度で老後資金を準備する制度です。
運用の成果は、原則60歳以降に一時金または年金で受け取ることになります。
iDeCoの掛金は月額5000円からですが、自営業者か会社員か、会社が企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しているか否か、などで掛金の上限額が決まっています。
また、iDeCoは「拠出時」「運用時」「受取時」のいずれの場合も税制優遇があるのが特徴です。
たとえば退職金制度のない方や、節税を兼ねた投資を考えている方にとっては、50歳からのiDeCo加入でも、所得税や住民税を抑えることもできるため、節税を兼ねた老後資金の準備が可能となります。
2.2 老後に受け取る年金を多くするための対策2:60歳以降も厚生年金に加入して働く
国民年金は加入期間が40年に達したら、それ以上加入することはできません。
しかし、厚生年金は原則70歳まで加入して、厚生年金保険料を納めることができます。
60歳以降、会社などで働き厚生年金に加入することで、受け取れる老齢厚生年金が増えますし、健康保険に加入し続けることで、人間ドッグなどの手厚い健康診断も安く受診できます。
2.3 老後に受け取る年金を多くするための対策3:年金を繰下げ受給する
年金の受給額を増やしたいなら、「年金の繰下げ受給をする」という方法があります。
年金の繰下げ受給とは、原則65歳から支給される年金を、66歳以降75歳までの間で遅らせて増額した年金を受け取ることです。
なお、昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。
繰下げ受給をすれば、年金は1カ月繰り下げるごとに0.7%増額され、1年間で8.4%増えます。
もし、70歳まで繰り下げるとすれば「8.4%×5年=42%」の増額になります。
さらに、75歳まで繰り下げれば「8.4%×10年=84%」も増えることになります。
3. まとめにかえて
厚生年金の基礎年金月額含んだ平均受給額は約14万円ですが、男女別にすると男性「16万3875円(基礎年金月額含む)」、女性は「10万4878円(基礎年金月額含む)」となっています。
インフレが進む状況で、年金だけの暮らしは苦しいと感じることが多くなってくるでしょう。
老後の年金が少ない…とわかったら、個人で少しでも増やせる方法に取組むようにしましょう。

