3. 「遺族厚生年金」の受給要件とは?ポイントは「配偶者」

一方「遺族厚生年金」は子がいなくても受給できますが、その他の要件があります。

3.1 「遺族厚生年金」の受給要件

  1. 厚生年金の被保険者の期間に亡くなったとき
  2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に亡くなったとき
  3. 1級・2級の障害厚生年金や障害共済年金を受給している方が亡くなったとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者が亡くなったとき
  5. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が亡くなったとき

老齢基礎年金と同じように(1)(2)は亡くなった前日までに免除を含む保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上必要です。

(4)(5)は保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間の合計で25年以上ある方に限ります。老齢基礎年金の10年以上ではないので注意が必要です。

遺族厚生年金は、亡くなった方に生計を維持された遺族のうち下記「優先順位」の高い方が受給できます。

3.2 「遺族厚生年金」受給順位の考え方(1:優先順位高)

  1. 子のある配偶者
  2. 子(子の要件は、遺族基礎年金と同じ)
  3. 子のない配偶者(30歳未満の妻は5年間だけ受給。夫の場合は60歳から受給開始)
  4. 父母(60歳から受給開始)
  5. 孫(子の年齢要件と同じ)
  6. 祖父母(60歳から受給開始)

障害厚生年金の金額は、亡くなった方の老齢厚生年金において「報酬比例部分の4分の3」の額です。

たとえば、40年勤務し老齢厚生年金を120万円受給できる見込みの方は、120万円の「4分の3」となるため90万円が受給額となります。

ただし、上記の(1)~(3)に該当する場合、厚生年金に加入している期間が25年(300月)に満たないと、受給できる「遺族厚生年金」が極端に少なくなってしまいます。

そのため、このケースでは25年(300月)を満たしたとして計算します。15年厚生年金に加入していた場合でも、25年加入していたとみなして計算してくれます。

次の章からは、遺族年金の具体的な計算方法を図表をもとに確認していきましょう。