やっと暖かくなったと思えば、もうすでに暑くなっている地域もあり、春の気候というよりは、夏に近づいている気もします。気がつけば、もうすぐ大型連休で、旅行などを計画されている方も多いのではないでしょうか。
この時期に将来のことを考える方もいらっしゃいます。ライフプランを考え、将来の計画を立てている方もいらっしゃるでしょう。
老後の収入の中心は公的年金ですが、万が一のときにどんな年金制度があるかを知っておくと、保険の見直しもしやすくなるのです。
今回は、遺族年金にスポットを当て具体的な支給要件などを確認していきましょう。記事後半では、4人のモデル家族の支給例をシミュレーションしていきます。
1. もしもの「遺族年金」は配偶者・子どものために残すもの
年金制度には老後働けなくなった時にもらう「老齢年金」、障がいを負い働けなくなった時にもらう「障害年金」、亡くなった時に家族のためにもらう「遺族年金」があります。
老後の年金については、毎年届くねんきん定期便でチェック可能。50歳以上の方は見込み額、50歳未満の方は今までに保険料を納めた分の概算額を確認できます。
しかし、障害年金や遺族年金は記載されていません。そこで今回はご家族が亡くなった時の遺族年金を調べてみたいと思います。
また、自営業の方など、国民年金の第1号被保険者の方は遺族基礎年金の対象となります。寡婦年金の対象となることがありますが、今回は割愛します。
会社員や公務員など厚生年金に加入していた方は、遺族基礎年金に加え遺族厚生年金を受給できる場合があります。それぞれに受給要件があるので、それを満たす必要があります。
2. 「遺族基礎年金」の受給要件とは?ポイントは「子ども」
受給要件がある「遺族年金」。以下のいずれかを満たすことで遺族基礎年金を受給できます。
2.1 「遺族基礎年金」の受給要件
- 国民年金の被保険者の時に亡くなったとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満で、日本に住所がある方が亡くなったとき
- 老齢基礎年金の受給権がある方が亡くなったとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が亡くなったとき
(2)は亡くなった前日までの「免除」を含む保険料納付済期間が、国民年金加入期間の3分の2以上必要です。
ただし、2026年3月末までは亡くなった方が65歳未満であれば、該当月の前々月までの直近1年間に未納がなければよいことになっています。
(3)(4)は保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間の合計で25年以上ある方に限ります。
老齢基礎年金の10年以上ではないので注意が必要です。
受給できるのは、亡くなった方に生計を維持された、子のある配偶者または子が対象です。
ちなみに子とは、18歳年度末の方や20歳未満であり、または障害年金の等級1級・2級の状態にある方となっています。
2.2 2024年度の障害基礎年金の額
〈子のある配偶者が受け取るとき〉
・1956年4月2日以降生まれの方:81万6000円+子の加算額
・1956年4月1日以前生まれの方:81万3700円+子の加算額
〈子が受け取るとき〉
81万6000円+2人目以降の子の加算額
・1人目、2人目の子の加算額 各23万4800円
・3人目以降の子の加算額 各7万8300円
たとえば、受給要件を満たして配偶者と17歳・15歳の子がいた場合には、以下の計算式が採択されます。
81万6000円+23万4800円 × 2 = 128万5600円
上の子が18歳年度末を過ぎると「子の加算額」は1人分となり、下の子が18歳の年度末を過ぎると、夫婦関係であっても遺族基礎年金は受給できなくなります。
なお「遺族厚生年金」を受給している場合、子のない妻が40歳以上65歳未満までは中高齢寡婦加算額61万2000円が加算されます。
つづいて遺族厚生年金の具体的な受給要件について、次の章から確認していきましょう。