2. 「そして、姉妹は他人になった」介護への貢献をめぐる相続トラブル

実際にあった介護への貢献度をめぐる相続トラブルを紹介します。

A子さんは関東近郊にある比較的裕福な家庭に長女として生まれました。

父親は地元の金融機関で働く傍ら、休日は兼業農家をしており、母親は専業主婦。兄弟姉妹は2歳年下の妹のB美さんがいます。

2.1 「お見合い結婚で実家を継いだ姉」 vs「同級生と結婚して自由に暮らす妹」

姉「親の決めた相手とお見合い結婚。実家の農作業を手伝う跡取り娘」

A子さんは両親から「長女として家の跡を取るように」と幼い頃から聞かされていたので、何の迷いもなく、年頃になると両親の決めた相手とお見合いをして、結婚しました。

そして、両親と同居をして農作業を手伝いながら、長年生活しています。

妹「学生時代のボーイフレンドと結婚。都心で働くキャリアウーマン」

一方、妹のB美さんは学生時代から付き合っていた男性と結婚し、結婚後は東京にマンションを購入して生活しています。

B美さんは学生時代の専攻を生かした専門職に就き自由で充実した人生を楽しんでいる模様。実家に戻ってくるのは、お盆とお正月の年に2回ほどです。

2.2 親の介護、そして相続……。

月日は流れ、両親が80歳代になり、介護が必要になりました。

特に母親は認知症を患い、物忘れに加え、度々暴言を吐くようになったとのこと。A子さんは両親と同居していたので、介護を一手に引き受けました。

1日3回の食事作りから、トイレやお風呂の介助など日常のことを行うのはもちろん、認知症の母親が度々吐く暴言にも、心を痛めながら、ひたすら耐えたということです。

そして、10年弱に及ぶ介護の据え、父親と母親が立て続けに亡くなり、相続が発生しました。