年末年始、久しぶりの帰省をする人も多いでしょう。みなさんは離れて暮らす親の終活について、どこまで把握できていますか?

厚生労働省の推計によれば、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると見込まれています。

認知症が進むと、家族が代理で暮らしやお金にまつわる情報の管理を行う必要が出てきます。親や自分自身が「そうなった時」に備え、たいせつな情報の共有をしておきたいものですね。

最近、離れて暮らす83歳の実父が認知症と診断された佳子さん(仮名・48歳専業主婦)は「父が認知症になる前に、もう少し“終活”を手伝ってあげればよかった」と後悔している模様。

今回は佳子さんのエピソードを交えながら、「親が認知症になる前に聞いておくべき3つのこと」について考えていきます。同じく認知症の親を介護中である筆者自身の経験談も紹介します。

※記事中のエピソードはすべて実話に基づくものですが、個人の特定を避けるためインタビュー内容の一部を改変しています。また、認知症の症状や進行具合はその人によって異なります。医療機関を受診し、信頼できる医師の指示のもとで、適切な療養・介護を行ってください。

1. 83歳父に認知症の診断が

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埼玉県に住む佳子さん(仮名48歳・専業主婦)には、故郷の福岡県で一人暮らす83歳の父がいます。佳子さんを含む子どもたちはみな独立して遠方住まい。

早くして妻に先立たれて10年ほど、「身の回りのことはほとんど自分でやってきた」が口癖でしたが、最近、物忘れが増えたり感情のコントロールが難しくなってきました。つい最近、コンロを空焚きしてボヤ騒ぎを起こしたことをきっかけに心療内科を受診。認知症がある程度進んでいる状態であると医師から診断を受けたそうです。

現在、介護保険サービスを組み合わせて利用するとともに、佳子さんを含む3人の子どもたちが交代で遠距離介護を行っています。専業主婦の佳子さんはきょうだいの中でも最も時間の融通が利きやすいため、今後介護のキーパーソンとなることは確実です。

大学入学と同時に実家を出た彼女にとって、父との生活は30年ぶり。「父が認知症になってしまう前に、きちんと聞いておけばよかったと後悔していることが3つあります」と佳子さんは言います。