「物盗られ妄想」で長男の妻を泥棒呼ばわり(Bさん父:75歳)
Bさんの父(75歳・要介護2)は、軽度の認知症と診断されています。
二世帯住宅の2階に暮らすBさん家族のサポートを受けながら、1階でおだやかに暮らす老夫婦だった……はずでした。
ところが最近、嫁(Bさんの妻)が「財布の中身を盗んだ」「通帳を隠している」と疑うように。
「主治医に相談すると、おそらく、認知症の初期に多く見られる“物盗られ妄想”でしょう、とのこと。『頭ごなしに否定せず、いっしょに探してあげてみてください』というアドバイスを幾度も実行してみましたが、父の物盗られ妄想は収まりませんでした」
とBさんは話します。
その後Bさんの父の症状はさらにエスカレート。孫(Bさんの息子)の前で「お前のお母さんは泥棒だ」と口走るようになり、Bさんの妻は心身ともに疲弊。心療内科通いが始まりました。
ここで、Bさんは「在宅介護の限界点がここで見えた」と言います。
「要介護度2なので特養(特別養護老人ホーム)には入れませんが、民間の有料老人ホーム探しを始めました。
自分の家族の健康をむしばんでまで、自宅介護をする必要はないです。2世帯住宅であれば親を在宅介護で看取れるのではないかと思っていましたが……」と、Bさんは話してくれました。