鬼電、泥棒呼ばわり「認知症・在宅介護の限界点」2つの家族のエピソード

今回は、認知症の親を持つ2人から、在宅介護のエピソードを聞くことができました。いずれも自宅での介護方法を模索しつつも「限界点」が見えてきた家庭です。

「脳内電話帳」で深夜の鬼電!(Aさん母:80歳)

Aさんの母(80歳・要介護度3)は、中度の認知症と診断されています。

近所に住む娘(Aさん)たちや実妹のサポートを受けながら一人暮らしをしていますが、深夜や早朝でもお構いなしに家族に電話をかけてくるように。

鬼電の相手は驚くことに、疎遠になった昔の知り合いにまで及んだそうです。

「電話の相手は、せいぜい親戚どまりだと思っていましたが、甘かったです。30年以上疎遠になっている“ママ友”の家の電話番号を記憶していたようで、朝晩構わず発信履歴が残っていました。先方が着信拒否をしてくださっていることを祈ります。

家庭向けの固定電話で発信制限ができる機種は販売されていないようです。スマホはおろかガラケーすら使えない母から、固定電話を取り上げることは難しいでしょう。いざとなったときの連絡手段を絶つことになりますから」


とAさんは話します。

その後も、Aさんの母の「鬼電」はなかなか収まらず、深夜に頻繁に起こされる子どもや妹の疲弊はピークに。ここで、Aさんは「在宅介護の限界」を感じたと言います。

Aさんとそのきょうだいたちが全員、受験期の子どもを抱えていたこともあり、全員一致で「施設入所」に向けて準備を進めているとのことです。