人生100年時代と長生きの時代に突入している日本。長生きを見越した制度改正などが続々と行われています。
例えば老後の年金ですが、2022年4月から受け取る時期を遅らせる年金の繰下げについて最大75歳まで選択できるよう改定が行われました※。
※:昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。
これまでの繰下げでは70歳まででしたが、期間が5年延長されて75歳まで可能となりました。期間の延長に伴い、増額率も42%から最大84%に増加しています。
もし年金額が15万円という場合、75歳まで我慢すれば27万6000円に増やせるのです。
長く働く人にとっては歓迎されそうですが、利用している方は少ないのが現実です。
そこで今回はそれぞれの年金の繰り下げ受給にスポットをあて、特徴やデメリットについて考察します。
1. 年金の繰下げ受給とは
「年金15万円を27万6000円に増やす方法」と聞くと、少々胡散臭く感じられるかもしれません。
しかし、これは「繰下げ受給」という正式な制度のもと行われるものなのです。
一般的に年金は65歳から支給が始まりますが、受給開始時期を66歳以降に遅らせることにより、年金額を増額させられるのです。
具体的には、受給を1月遅らせるごとに、年金額が月に0.7%増額されます。
最大では75歳まで繰下げることができます。