年金と聞くと多くの方が、老後の年金を考えると思いますが、老後以外にも家族のための年金や障がいを負ったときの障害年金もあります。
今回は、遺族年金のことを取り上げてみましょう。
もし生計を維持する人が亡くなった場合、遺族にはどのような保障があるのでしょうか。遺族年金として受け取れる金額について、早見表で確認します。
1. 遺族年金には大きく分けて2つの年金がある
遺族年金というとなんとなく、主な収入の担い手がなくなったときの年金というのはわかると思います。
そんな遺族年金には、大きく分けて2つの種類があります。
1つ目は、お勤めの方が加入する厚生年金に対する遺族厚生年金(遺族共済年金を含む)。
もう1つが、20歳以上60歳未満の方が加入する国民年金に対する遺族基礎年金です。
それぞれに役割があり、受給できる要件や年金額が違います。
2. 遺族年金では亡くなった方の「保険料の納付要件」が重要
遺族年金を受給するためには、亡くなった方がどのくらい国民年金や厚生年金などに加入し、保険料を支払っていたかが大事です。
亡くなった前日までに、保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と、保険料免除期間を合わせた期間が、亡くなった日が含まれる月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上あることが必要です。
例えば、40歳で亡くなったAさん、妻Bさんと子Cさん、Dさんという家族の例をみましょう。
- 死亡日 令和5年10月15日
- 被保険者期間(年金加入期間)240月 (20歳から年金制度に加入)
- 国民年金保険料 納付済期間 12月 未納期間 12月
- 厚生年金保険の被保険者期間 216カ月
- 納付済期間 12月+厚生年金被保険者期間 216月 = 228月
この場合、「被保険者期間:240月の3分の2の160月」を満たしているため、納付要件を満たしています。
3. 遺族厚生年金の受給要件(受け取る側)
遺族年金を受給するためには、受け取る側にもいくつかの要件があり、以下のいずれかを満たした遺族が、遺族厚生年金を受給できます。
- 厚生年金保険の被保険者期間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生年金を受け取っている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者や受給資格期間を満たした方が死亡したとき
4. 遺族厚生年金は、主に配偶者のため
遺族厚生年金では、亡くなった方に生計を維持されている遺族の中で、優先順位の高い方が受給できます。
- 子のある配偶者または子(優先度高)
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母 (優先度低)
計算式としては、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分(または老齢厚生年金)の4分の3と決まっています。
2003年3月以前の平均標準報酬月額や2004年4月以降の平均標準報酬額を使って計算するのですが、複雑のため多くの方が計算しにくいと感じます。
そこで活用したいのが、毎年届くねんきん定期便です。こちらを元に簡単に計算ができます。
50歳未満の方は、ねんきん定期便の「3.これまでの加入実績に応じた年金額」をご覧ください。
(2)厚生年金期間に注目します。この方の場合、一般厚生年金で50万円受給予定ですので、その4分の3の37万5000円を受給できると考えてください。
50歳以上の方は、「老齢年金の種類と見込み額(年額)」の欄をご覧ください。
50歳以上の方は、60歳まで今の働き方を続けた場合で記載してあるため、金額に相違があることが多いです。詳しくは年金事務所に相談ください。
参考程度にこの場合は、120万円の4分の3である90万円と考えてください。
5. 遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金は、子のための年金という性質があります。
亡くなった方によって生計を維持されていた、「子のある配偶者」か「子」が受け取ることができます。
- 国民年金の被保険者である間に亡くなったとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本に住所があった方が亡くなった時
- 老齢基礎年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上ある方)が亡くなったとき
- 保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上ある方が亡くなったとき
5.1 【早見表】遺族基礎年金の金額は一律
子のある配偶者が受け取るとき
子が受け取るとき
この条件として、18歳の年度末3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態の子となりますが、婚姻すると条件から外れます。
また、末子がこの条件から外れると遺族基礎年金が受給できなくなります。
しかし、子のない妻が40歳以上65歳未満までの間は、厚生年金から中高齢寡婦加算額59万6300円が加算され受給できます。
6. 遺族年金がもらえないこと、もらえなくなることもある
遺族年金はずっともらえるものではありません。
先のAさんの妻のBさんは、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給しますが、末子のDさんが18歳の年度末で遺族基礎年金の受給が終了します。
その後は遺族厚生年金と中高齢寡婦加算を受給、Bさんが65歳になり、ご自身の老齢基礎年金と選択した遺族基礎年金を受け取る予定です。
遺族厚生年金は、子のない夫は55歳以上である方に受給権がありますが、受給開始は60歳からとなります。
遺族基礎年金を同時に受け取る場合は、55歳から60歳の間でも遺族厚生年金を受給できます。
父母や祖父母も同様に55歳以上である方に限り受給権がありますが、受給開始は60歳からとなります。
子のない30歳未満の妻の場合、遺族厚生年金は5年間のみで、その後は受給できません。
他にも、婚姻した場合(内縁関係も含みます)や直系血族または直径姻族以外の養子になったときも受給できなくなりますし、自身の厚生年金を受け取る際に遺族厚生年金を受け取る際は、どの年金を受け取るか選択する必要があります。
また、遺族年金は年収要件があり生計を維持されていた遺族とは、亡くなった方と生計を同じくし、恒常的な収入が将来にわたって、年収850万円以上にならないと認められることとなっているため、収入が多い方は、遺族年金の支給停止となることがあります。
年金の制度は、「配偶者」の場合や「妻」と使われている言葉が違う場合があります。
以前は、妻という表現が多かったのですが、配偶者という表記になり男性でも該当するものが増えています。
7. 遺族年金を知っておく
あまり遺族年金の要件の確認や、計算まですることは少ないかもしれません。
年金事務所で大まかな遺族年金の計算や要件を確認することもできますし、「ねんきん定期便」を利用しても、遺族年金の金額が大まかに確認できるのです。
ライフプランを立てる場合でも、遺族年金がもらえるのか、どのくらいもらえるかがわかれば将来を考えることができますし、生命保険の死亡保障の見直しにも役立てることができます。
※年金額は、2023年の金額を年額で記載しています。



