2.1 勤務先の制度を使う

厚生年金に加入することで、老齢基礎年金に加え老齢厚生年金を増やすことができます。

扶養から外れて収入を増やす場合は、将来の年金も増やせますし、一般の社員の方でも給与が増える場合は、社会保険料の負担は増えますが、将来の年金が増えることも知っておきましょう。

今まで扶養内で働いていた場合、所得税、住民税、社会保険料の負担はなかったかもしれませんが、これからはこれらに加え、配偶者の扶養控除が無くなり負担が出てきます。

ご家族で話し合った上で、扶養を外れての働き方を考えてみると良いでしょう。

また、一般の従業員の方は、企業型確定拠出年金などお勤めの制度を利用することもできます。

払っている段階では気づかないのですが、いざ受け取る時には「続けていてよかった」と言われることが多いので、勤務先の制度を確認しましょう。

2.2 iDeCo

企業型確定拠出年金が利用できない方も、現在では多くの方が、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用することができるようになりました。

原則60歳までは引き出しができないのですが、引き出しができないからこそ、将来のために貯めることができます。

運用方法は自分で決めなければなりませんが、投資信託など、決められた選択肢の中から選ぶことができ、掛け金については、全額「小規模企業共済等掛金控除」を利用することができるので、所得税や住民税を減らせます。

控除については、その年に払った掛け金全額が控除できるため、生命保険料よりも多く控除ができ、節税対策をしながら老後の準備ができるという面では使いやすいと思います。

運用時や給付時に費用がかかることも忘れてはいけませんが、運用する金融機関によっても費用が違いますので、金融機関選びも大切です。

2.3 国民年金基金、小規模企業共済

厚生年金に加入中の方は利用できませんが、自営業の方で国民年金に加入している方は、利用してみると良いでしょう。

国民年金基金は、国民年金に加入している方が、厚生年金のような上乗せの年金として利用することができ、終身型や確定年金など、年齢や性別に応じて、掛け金を選べます。

また、確定拠出年金と合わせて月額6万8000円以内であれば、社会保険料控除として全額を所得から控除することができます。

小規模企業共済は、小規模の事業主や役員の方が廃業や退職後の資金を準備することができる制度です。

低利で事業資金の借り入れもできる制度となっており、掛金も全額「小規模企業共済等掛金控除」を利用できます。

2.4 NISAを使って運用

2024年から制度が変わりますが、NISAを使って運用することもできます。

2023年までは、「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらかを選択しなければいけなかったり、期限が決まっていましたが、2024年からは、積立投資枠(今までのつみたてNISA)や成長投資枠(今までの一般NISA)の両方を使うことができます。

運用する金額に対して所得控除はありませんが、運用益や配当金が非課税となります。

また、途中で解約や引き出しができるため、老後資金以外で使わないように気をつけておきましょう。

2.5 その他

保険や債券などで貯めていくことができます。

最近では、日本の金利が低いために海外の金利の高いもので運用することもできますが、途中で解約した場合や満期の時に円高で元本割れが生じることがあることも、知っておいてください(金融機関によっては、外貨のままで持つこともできます)。

もちろん、iDeCoやNISAについても運用方法は違いますが、しっかりとリスクがあることや運用のコストがあることも知っておきましょう。

リスクやコストばかりを気にすると運用はできなくなりますが、長期、分散、積立で利用すると運用しやすくなります。

3. 老後資金の準備を

老齢厚生年金や老齢基礎年金をもらうまでに時間がある若い方は、年金のことは気にされないかもしれません。

しかし掛け金などは変えることができますので、資金的な余裕がある間に少ない金額からでも始めることで、将来の負担を減らすことができます。

現在は、65歳を過ぎても元気な方が多く、働ける方も多いのですが、ご高齢の方の相談を受けていると「もう少し老後資金を準備しておけばよかった」、「もう少し働いていればよかった」ということを聞きます。

将来の自分に対しての資金として、老後資金を準備しましょう。

参考資料

香月 和政