2. 18歳からの住まい契約で想定されるトラブル
18歳から賃貸借契約が可能になったとはいえ、契約事に慣れていないことからさまざまなトラブルが想定されます。18歳からの住まい契約によって起こり得る契約前後のトラブルについてまとめました。
2.1 契約時のトラブル
契約時のトラブルとして考えられるのは、契約前に契約金の支払いを請求されるケースです。本来契約金は契約内容に同意した後に支払うものですが、契約者の収入状況によっては不動産会社が契約前の支払いを求める可能性があります。
内見時と契約時とで説明される契約内容が違うというケースも、想定されるトラブルの1つです。内見時には説明がなかった管理費や諸経費が契約時に追加されていた、仲介手数料の金額が変わっていたなど、事前に説明された内容と異なるトラブルは実際に起きています。
契約した場合に必要となる支払い項目と総額を不動産会社に書類で提示してもらい、変更がないことを確認し、内容に納得した上で契約しましょう。
2.2 日常生活や入居中のトラブル
18~19歳の契約者が一人暮らしをする場合、集合住宅を借りるケースがほとんどです。さまざまな人が住む集合住宅には、快適に住むためのルールが決められており、入居後はそのルールを守らなければいけません。
しかし、上階や隣室からの騒音がひどい、ゴミ出しの曜日や出すゴミの種類を守らない、禁止されているのにペットを勝手に飼ったり部屋を改造したりする、契約していない人が駐車場を使用するといったトラブルはよく起こります。
特に18~19歳は契約前まで家族と暮らしていた人が多いこともあり、それまで配慮しなくて済んでいたことが集合住宅ではトラブルの原因になるケースは珍しくありません。
自分がされて不快に感じることはしないよう配慮すると同時に、他の入居者が原因で起きたトラブルは自分で交渉せず、まず管理会社に相談するといった知識を身につけることが大切です。
入居中に家賃を滞納した場合は、契約者本人に支払い催告が行われます。それでも支払いをせずにいると、連帯保証人に請求が渡り、迷惑をかけることに。たとえ高校生や大学生であっても自分が契約者である自覚を持ち、家賃滞納をしない努力が必要です。
2.3 更新・退去時のトラブル
賃貸住宅は1年もしくは2年ごとに契約更新が行われますが、その際に起こりやすいトラブルとして家賃や管理費の値上げがあります。
値上げの通知時期について法的な決まりはありませんが、不動産会社が値上げ直前になって一方的に通知をすることは禁じられているため、契約更新日の1ヶ月以上前に行われるのが一般的です。
周辺の家賃相場より安い、社会の経済情勢の影響といった正当な理由でない限り、値上げは基本的にできません。また、借主が承諾しないまま値上げを強行することもできないので、値上げの通知を受けても納得できない場合は慌てずに対応しましょう。
退去時のさまざまなトラブルの中で、不動産会社への退去通知の遅れは特にトラブルになりやすいです。契約書や重要事項説明書に退去通知の時期が明記されているはずなので、退去を検討し始めたら契約書を確認し、適切な時期に退去通知をしましょう。
その他、退去が決まった後のトラブルで多いのが敷金や修繕費用に関することです。
過失による傷や汚れの修繕費用は借主負担、経年劣化による傷や汚れの修繕費用は貸主負担というのが一般的で、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って判断されます。
しかし、ガイドラインに沿っているにもかかわらず敷金が戻らない、高額な修繕費用を請求されたなどの問題が起きやすいので注意が必要です。
当事者間でトラブルが解決できない場合は、自力で解決しようとせず、状況が悪化する前に専門機関へ早めに相談しましょう。