2023年2月8日に公表された帝国データバンク「「物価高倒産」動向調査(2023年1月)」によると、ウクライナ戦争を契機に企業の仕入れ価格や値上げ難で倒産する企業が増えています。
物価高は、直接家計にも打撃を与えます。
特に年金生活となる高齢世帯にとって物価高への不安は大きくなるでしょう。
では、一般的に年金生活がはじまる60歳代の貯蓄の状況はどうでしょうか。60歳代のお金のリアルを確認します。
60歳代「貯蓄」の平均と中央値。「貯蓄3000万円以上」ある人の割合とは
今回は60歳代の貯蓄を単身世帯と二人以上世帯に分けて、その平均と中央値を確認しましょう。
余裕があると考えられる「貯蓄が3000万円以上」の割合もみていきます。
【60歳代の貯蓄】単身世帯(平均と中央値)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によると、60歳代の単身世帯で貯蓄3000万円以上ある人の割合は16.9%です。
貯蓄3000万円以上ある人が16.9%いる一方で、貯蓄ゼロの人が28.5%います。
平均値1388万円と中央値300万円の間に1000万円以上の乖離があり、世帯間の経済格差が顕著です。
60歳代で退職を迎える人が多いですが、退職金の多寡が貯蓄額に影響を与えている可能性があるでしょう。
【60歳代の貯蓄】二人以上世帯(平均と中央値)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、60歳代の二人以上世帯で貯蓄3000万円以上ある人の割合は20.3%です。
平均は1819万円、中央値は700万円となっており、単身世帯より貯蓄が多い世帯が多いとわかります。
しかし、貯蓄ゼロ世帯は20.8%で、約5世帯に1世帯は貯蓄がありません。
単身世帯同様、世帯間の経済格差は大きいようです。
世界と比べた日本の高齢者の資産形成
貯蓄3000万円以上を保有する世帯は一定数ありますが、貯蓄ゼロ世帯があるなど、世帯間の経済格差が激しく、生活に窮する世帯もあることが分かりました。
老後生活の基盤となるのが、年金です。
先進各国と比べて、日本の高齢世帯は年金で十分に生活できるのでしょうか。
2019年4月12日に公表された金融庁「人生100年時代における資産形成」によると、日本の高齢者世帯の年金の所得代替率は欧米主要国を下回っています。
所得代替率とは、年金受給者の年金受給額が、その人の退職前の収入に対する割合を表す指標です。
私的年金を活用した場合、公的年金のみの場合と比較して、所得代替率は先進各国と比べて、遜色ないレベルです。
公的年金のみでは現役時代の所得の3割台しかまかなえませんが、私的年金を利用すれば、約6割近くまかなうことができると分かります。
しかし、同報告書によると、日本の高齢者は資本所得(私的年金などの収入)の割合が低いことが明らかになっています。
しかし、少子高齢化が進む日本では、公的年金に頼る生活は困難になる可能性があります。
各世帯が自助努力による資産形成を進める必要があるでしょう。
現役世代から老後資金を作るコツ3つ
では、現役時代から老後資金を作るコツを3つご紹介します。
複数の方法を組み合わせることで、リスクを分散して、資産形成が行えるでしょう。
老後資金を作るコツ1.iDeCoを利用する
iDeCoは自分自身で積み立てをする私的年金制度です。
自分で商品を決めて毎月積み立て、掛金は所得控除の対象なので税制上のメリットがあります。
運用益に税金がかからないので、通常の投資より効率的に老後資金を作ることができるでしょう。
ただし、運用なのでリスクがあり、運用成果によって受給額が減少する場合がある点に注意が必要です。
老後資金を作るコツ2.定期預金や投資信託などの金融商品を利用する
定期預金は安定した運用ができ、元本が保証されるので、老後資金を作る方法として適しています。
一方で日本国内は低金利状態が続いているので、効率的な資産形成は難しいかもしれません。
投資信託は運用成果によっては高い利回りを実現し、効率的な資産形成が可能です。しかし、元本が保証されず、運用成果によって元本割れを起こす可能性がある点に注意が必要です。
2024年からは新NISAがはじまる予定ですので、こちらについて調べてもいいでしょう。
老後資金を作るコツ3.不動産投資
不動産投資は、賃貸物件を持つことで、家賃収入を得ることができます。賃料が定期的に支払われるので、比較的安定した収益が期待できるでしょう。
ただし、空室や災害、不動産価格の変動などのリスクがあるため、リスクを抑えたりきちんと調べながら適切な投資を行う必要があります。初心者では難しく、知識や経験が必要でしょう。
老後に向けた資産形成を考えよう
60歳代で3000万円以上の貯蓄を保有する世帯は単身世帯で16.9%、二人以上世帯で20.3%ですが、貯蓄ゼロ世帯も多く、世帯間格差が大きいです。
老後の生活費や医療費などは、年金や公的医療制度だけでは十分にカバーすることができない場合があります。
少子高齢化が進む日本では、公的年金が減額される可能性もあり、自助努力による資産形成の重要性が高まっていると言えるでしょう。




