60歳代で考えたい収入と支出の工夫

では、60歳代でも行える収入と支出に対する工夫にはどのようなものがあるでしょうか。

まず支出部分ですが、保有金融資産がなくても、受給する年金を生活費が上回らなければ基本的に生活は可能です。できれば年金での生活を始める前に、家計を見直すといいでしょう。

特に携帯料金や新聞代、保険料、駐車場代などの毎月発生する固定費は見直しポイントです。月間5000円の固定費を節約するだけで、年間6万円も節約できます。

月に固定費はどれくらいかかっているか、これを機に確認するといいでしょう。

また、65歳で年金の受給を開始する前に検討したい点があります。それは、「年金の受給開始期間を遅らせることができないか」です。

実は、年金は75歳まで受給を遅らせることができます。受給開始を遅らせる分だけ、年間の受給金額は高くなります。

たとえば、65歳から受け取る年金が年間100万円の方の場合、受給開始を75歳に遅らせれば年間受給額は184万円です。年齢ごとの年間受給額は以下のようになります。

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに筆者作成

近年は、定年退職の年齢を延長する企業や再雇用を行う企業もあります。

まだ働けるのであれば、65歳以降も働いて生活費を収入で補い、年金の受給開始を遅らせることで年間の年金受給金額を増やすことも検討できるでしょう。