老後2000万円問題の根拠は?最新データで試算

ここで、貯蓄2000万円の根拠である「老後資金2000万円問題」を振り返ってみましょう。

これは、2019年の金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書・高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日発行)の中の記述が発端となっています。

報告書には、高齢夫婦無職世帯の平均的な収支モデルでは毎月約5万円不足し、それを自身が保有する金融資産から補てんすると約2000万円必要になるという趣旨の記述があり、ここから老後資金2000万円問題として話題になりました。

出所:金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」をもとにLIMO編集部作成

報告書にある高齢夫婦無職世帯のひと月の収支は、2017年の総務省の家計調査のデータをもとに試算しています。

こちらを最新の2021年のデータに変えてみてみると、実収入は23万7988円、実支出は26万94円となり、2万2106円の赤字となります※。

※総務省「家計調査/家計収支編/二人以上の世帯/2021年/第3-12表(高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別」

5万5000円よりは赤字は減りましたが、この試算も将来に渡ってこの収支が続くわけではないので、あまり意味をなさないでしょう。

また、モデルとしている高齢夫婦無職世帯の平均収支が自身のものとかけ離れていたら、そもそも参考にはなりません。そこで、老後資金が2000万円でも足りないケースとその場合の対処法を次に紹介します。