3. 【商船三井】業績悪化や優待方針の変更が今後のリスクに

商船三井の株式投資を考える上で留意しておきたい今後のリスクは、業績の悪化や、配当や充実した株主優待の持続性などです。

まず業績については、2022上期まで商船三井の業績の原動力の一つとなったコンテナ船の運賃が、足元は低下傾向となっています。

元々の原因であったコロナ禍による物流の停滞が改善傾向であることや、ロシアのウクライナ侵攻による影響の緩和、そしてグローバルなインフレのピークアウトや景気後退懸念の高まりなどがその背景にあると考えられるでしょう。

今後、景気悪化により物流需要が減退したり、船賃が低下したりすれば、商船三井の業績も今よりは悪化するリスクはあります。

そうなれば、株価の下落や減配の可能性もあると考えておくといいでしょう。

また、2022年に拡充された株主優待の継続性にも留意しましょう。

株主優待は基本的に個人投資家のみが恩恵を受けられるシステムです。

そのため、優待の拡充は個人投資家を重視し、プロの運用会社や金融機関などの機関投資家を軽視する施策と言えるのではないでしょうか。

東証の従来の制度では、東証1部上場を維持するために2200人の株主が必要でした。

そのため多数の個人投資家を確保する意味合いから、株主優待を積極的に提供する企業が少なからず存在していたのです。

しかし、2022年の市場再編により必要な株主数は最上位に当たるプライム市場でも800人に減少しています。

また、東証が上場企業に対して順守を要求している「コーポレート・ガバナンス・コード」においては、「株主の権利・平等性の確保」を挙げており、株主を保有株数に応じて平等に扱うことを求めています。

株主優待は個人投資家優位の施策であり、さらにほとんどの優待は保有株数に完全には比例しない制度であるため、コーポレート・ガバナンス・コードの観点から課題が多いとの見方もあります。

実際のところ2022年に入ってオリックスやJTなどの大手企業が株主優待の廃止を発表しています。

商船三井も今後この潮流に則って、将来株主優待の縮小・廃止に転じる可能性は否定できません。

優待目的で投資を検討する場合には、こうしたリスクにも目を向ける必要があるでしょう。