2022年9月、国税庁より「令和3年分 民間給与実態統計調査」が公表されました。こちらによると、最新の平均年収は443万3000円です。
前年度に比べて10万円アップした形ですが、平均並みの給与を受け取っている場合、どれくらいの厚生年金を受給できるのかも気になります。
今回は日本の標準である「平均年収443万円」の人が受け取れる厚生年金額をシミュレーションしてみましょう。
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1. 日本の平均年収は443万円に
国税庁の資料によると、平均年収は前年度の433万円から10万円アップして443万円となりました。
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出所:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
アップしたとはいえ、平均年収のピークは平成9年(1997年)の467万円。増減を繰り返しながら、長い目でみればこの30年はほぼ横ばいになっています。
では、そんな平均年収である443万円を稼いでいる人の場合、厚生年金の受給額はいくらが見込まれるのでしょうか。
日本年金機構によると、2022年度における「標準的な夫婦」が受け取る年金は月額21万9593円。
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出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
こう考えると、標準的な年収の人=標準的な夫婦となり、約22万円の年金を受け取れるように思えてしまいます。
しかし、そうとも言えません。次の章で具体的にシミュレーションしてみましょう。
2. 平均年収443万円の人が受給できる厚生年金はいくらか
早速、年収443万円の人の受給額を試算してみます。
2.1 厚生年金の計算式
- 2003年3月以前:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- 2003年4月以降:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
このように加入の時期によって計算式が異なるため、ここではわかりやすく2003年4月以降に加入したとして試算します。
2.2 試算条件
- 2003年4月以降に厚生年金に38年間加入した
- 国民年金は40年間未納なし
- 配偶者や扶養家族はいない
2.3 厚生年金を試算
年収443万円÷12ヵ月=36万9166円のため、平均標準報酬額を37万円とします。
37万円×5.481/1000×38年(456ヵ月)=約7万7000円
さらに老齢基礎年金(国民年金)の保険料を満額納めていたとすると、2022年度の水準は約6万5000円です。
合計すると月額14万2000円になります。
もし専業主婦の妻がいる場合、妻の分の老齢基礎年金6万5000円を足すことで、夫婦の合計年金は20万7000円となります。
3. 標準的な夫婦世帯の22万円とずれるワケ
先ほど、日本年金機構による標準的な夫婦の合計年金は21万9593円と紹介しましたが、近い数字にはなりました。
こちらの金額は「平均標準報酬43万9000円で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」と定義されているため、もととなる「平均標準報酬」と「加入期間」が少しずれていることがわかりますね。
標準とされるモデル世帯はあくまでも一つの例であるため、毎年の平均年収や加入期間とは齟齬が生じます。
共働きが増える今、専業主婦世帯をモデルとするのも違和感を覚える方もいるでしょう。
4. 厚生年金は「平均並み」を受給している人も少ない
厚生年金の平均受給額は、直近の厚生労働省のデータによると14万4366円(老齢基礎年金を含む)です。こう聞くと、ほとんどの方は14~15万円の厚生年金を受給しているように錯覚してしまいます。
しかし、厚生年金で月15万円を超える割合をみると、全体で約46%にとどまることがわかります。
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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
男女別に見ると、男性は約65%、女性は約9%です。個人差だけでなく、男女差も大きいことがわかりますね。
厚生年金の受給額は、あくまでも現役時代の収入や加入期間に左右されます。
「平均」「標準」という言葉に惑わされず、自分自身の目安額を確認することが重要となります。
5. 自分の年金額を知って老後の備えを
最新の平均年収は443万円でした。また、2022年度における標準的な夫婦の年金額は約22万円です。
こうした数字だけを見ると、平均並みの年収の人は標準の年金を受給できると錯覚してしまいます。
しかし、厚生年金の金額はピンキリ。そもそも平均は実態を表す数字ではなく、大きな値に引っ張られてしまうという性質もあります。
「厚生年金はこれくらいもらえるだろう」となんとなく考えるのではなく、ねんきん定期便やねんきんネットなどで自分自身の年金額を確認するようにしましょう。
老後の備えは、年金の目安を知ることから始まります。年金だけでは老後を暮らせない昨今。生活費として足りない分について、計画的に準備をしていきたいですね。
参考資料
太田 彩子
