厚生労働省が2022年10月25日に行った社会保障審議会年金部会では、「年金大改悪」とも言われる改革案が資料に記載されています。

「老後に年金だけで暮らせない」と囁かれる今、実際の年金受給額はどれほど減っているのでしょうか。

主な改革案とともに、本当に支給されている厚生年金と国民年金の月額平均を見ていきましょう。

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1. 議論が進む「年金大改悪」が厚生年金と国民年金に与える影響

さまざまな年金の改革案について、報道や噂を耳にする方も多いでしょう。

1.1 国民年金を5年延長

よく取り上げられているのが、「国民年金の加入義務を65歳未満まで延長する」というものです。

現在は原則60歳までの加入となっており、それ以降は保険料が発生しません。受け取りは65歳まで引き上げられたものの、保険料負担はありませんでした。

これを64歳11ヶ月まで引き上げることで、財源を確保しようというものです。2022年度の水準で、保険料は月額1万6590円。5年間延長するとなると、約100万円の負担増になります。

1.2 厚生年金の上限を引き上げ

さらに、会社員等が加入する「厚生年金」についても、上限を75歳未満に引き上げる案があります。

「60歳での定年退職後、すっぱり引退」という方が減り、65歳でも70歳でも働き続ける方が増える日本。現在は上限が70歳となっています。

しかし、これを75歳まで引き上げることで、保険料の天引きが続くことになります。

他にも厚生年金で国民年金を穴埋めする案や、厚生年金の適用拡大(第3号被保険者の廃止)などが起こる可能性もあるのです。

単純に負担が増え、なおかつ年金給付は減るという改革案に、「大改悪」というイメージがつくのは仕方のないことかもしれません。

では現実的に、今のシニアはいくらの厚生年金と国民年金を受給しているのでしょうか。