1.1 インフレ時は金利も上昇するのが一般的

インフレになると市場金利も上昇していくのが一般的です。需要の高まりによって景気が良くなると、企業はさらに商品を売ろうとして原材料の購入資金や設備投資などのために資金調達をしようと考えます。利益が拡大して社員に給料として還元されれば、個人はさらに物を購入しようと考えるでしょう。

このように、景気が良くなるインフレの場合は、お金の需要も高まります。そのため、金利も上昇しやすくなるのです。

なお、インフレが過度に進む「ハイパーインフレ」は良い状態だとはいえません。そこで、中央銀行は政策金利を引き上げて資金調達をしにくくすることにより、インフレが進みすぎないように調整します。このように、インフレ時には金融政策として金利の引き上げが行われることもあるのです。

2. 住宅ローン金利の現状

ここでは、2022年8月時点での住宅ローン金利の現状についてご紹介します。まずは現状を把握して、今後の動きを確認していきましょう。

2.1 固定金利は上昇局面にある?

2022年に入ってから、みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行のメガバンク3行は住宅ローンの固定金利期間選択型(10年)の金利引き上げを発表しています。この背景には、長期金利の上昇が挙げられるでしょう。

長期金利の参考とされている「新発10年国債利回り」は、2022年2月に6年ぶりに0.2%を超えました。以降も0.2%台を維持している期間が多く、2022年8月31日時点での金利は0.235%。日本銀行がマイナス金利を導入して以来の高水準を保っています。

先ほども解説したように、固定金利は長期金利の動向を参考にしているため、長期金利が上昇すると固定金利も上昇する傾向にあるのです。

アメリカは金融緩和政策の終了を公表したものの、日本は金融緩和政策を続ける意向を示しています。

日本は引き続き長期金利の上昇を抑える政策を続けますが、アメリカの長期金利上昇の影響を受けて現在の水準よりも高いところで推移する可能性が考えられます。

今後も長期金利が上昇していけば、住宅ローンの固定金利にも影響を与えることが予想されるでしょう。