2022年8月、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比2.8%の上昇となりました。5月・6月・7月も前年同月比2%の上昇を超え、様々な商品やサービスの値上げが発表されています。このような物価上昇は、家賃にも影響するのか気になる方もいるでしょう。

そこで今回は、物価上昇と家賃の値上げについて解説します。家賃相場の推移や家賃が値上げされるタイミングについても解説しますので、不動産投資に興味のある方や賃貸物件に居住する方は、ぜひ参考にしてみてください。

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1. 物価上昇は家賃値上げの理由になる?

家賃の値上げ自体は、違法ではありません。ただし、借地借家法32条では税負担の増加や土地・建物の価格上昇、現状の家賃が周辺相場より著しく安いなど正当な理由がある場合とされています。

(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
引用:借地借家法|e-Gov法令検索

したがって、物価の上昇により土地・建物の価値が高まって固定資産税などの負担が増えたり、周辺相場と比較して家賃が適正賃料でなくなったりした場合であれば、家賃の値上げが認められるといえるでしょう。

ただし、家賃などの契約条件を変更する際は、貸主・借主双方の合意が必要になります。一方的に値上げできるわけではないため、借主に納得してもらえるように値上げの根拠を明確にしたり、客観的にわかるデータや資料を準備したりすることなどが必要でしょう。