コロナ禍を契機に働き方を見直す方が増えました。テレワークを経験した結果、フリーランスという働き方に興味を持つ方もいますね。
ベンチャーサポートグループ株式会社が全国20代~50代男女を対象に実施したアンケート「コロナ禍での起業・独立についての実態調査」によると、約5人に1人が新型コロナ感染拡大を機に起業や独立をしたいと思ったことがあると回答しました(2022年9月15日)。
働き方が多様化する現在、さまざまな選択肢から考えられるのはうれしいことです。
ただし、フリーランスという働き方のデメリットとして「収入の不安定さ」をあげる方は多いですが、意外に「老後の生活」まで考える方は多くありません。
年収が1000万円を超える「勝ち組」フリーランスでも、年金の知識がないとその見込額に青ざめてしまうのです。
くわしく見ていきましょう。
【注目記事】年金を増やしすぎた夫婦を待つ悲劇。手遅れになる前に知っておくべき繰下げ受給の仕組み
1. 年金には厚生年金と国民年金がある
一言に年金といっても、さまざまな観点から分類することができます。まずは厚生年金と国民年金を整理しましょう。
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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
1.1 国民年金(1階部分)
国民年金は1階部分に位置し、公的年金のベースとなることから、基礎年金とも呼ばれます。原則として日本に住む20歳~60歳未満の方が加入し、働き方によってさらに3つに分類できます。
- 第1号被保険者:自営業、フリーランス、20歳以上の学生など
- 第2号被保険者:会社員や公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
このうち第2号被保険者は、上乗せとして厚生年金にも加入します。
1.2 厚生年金(2階部分)
国民年金の第2号被保険者である会社員や公務員が上乗せして加入するのが厚生年金。報酬に応じた保険料を支払い、これにより将来の年金額が決まります。
つまり、厚生年金の加入者は年金額が手厚いことが一般的です。フリーランスよりも、公務員や会社員の方が多くの年金を見込めるということですね。
実際、厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給額は約5万6000円、厚生年金の平均受給額は14万4366円(国民年金を含む)です。
2. フリーランスはどれだけ年収が高くても年金額は低い
フリーランスが受給できる国民年金は、現役時代の収入に一切左右されません。どれだけの期間納付したか、これで決まるのです。
具体的には【年金額×(保険料の納付月数÷480ヶ月)】で計算します。40年間しっかり保険料を納付していた場合でも、2022年度の満額は77万7800円です。
参考までに、現在年金を受給している方がいくらの国民年金を受給しているのか、その分布を確認しましょう。
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出所:厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
平均月額 5万6252円
- 1万円未満 7万4554人
- 1万円以上~2万円未満 29万3600人
- 2万円以上~3万円未満 92万8755人
- 3万円以上~4万円未満 284万2021人
- 4万円以上~5万円未満 466万3638人
- 5万円以上~6万円未満 776万979人
- 6万円以上~7万円未満1483万5773人
- 7万円以上~188万2274人
年収1000万円を稼いでいた人にとっては急降下ですね。年金を増やす方法はないのでしょうか。
3. フリーランスが年金を増やす方法3つ
ここからは、フリーランスが少しでも将来の年金を増やせる方法を見ていきましょう。
3.1 年金を増やす方法1. 付加保険料を払う
国民年金保険料に加え、月額400円の付加保険料を支払うことで、年金額に「200円×付加保険料納付した月数」が上乗せされます。
さらに所得控除の対象になるため、節税にも役立ちます。
3.2 年金を増やす方法2. 国民年金基金に加入する
国民年金基金に加入し、任意の掛け金を支払うことで年金額を上乗せできます。ただし、付加保険料を支払っている方は国民年金基金に加入できません。
3.3 年金を増やす方法3. iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
国民年金基金に加入している方でも、合算上限6万8000円までなら加入できるiDeCo。掛け金はすべて所得控除の対象で、受取時の税制優遇も受けられます。
さらに運用商品なので、本来であれば運用益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益には税金がかからないメリットもあります。
つまり、3回にわたって税制優遇が受けられるのです。
こうした金融商品や制度を利用すること、さらに繰下げ受給なども検討することで、フリーランスは年金額をあげる検討が必要になります。
4. まとめにかえて
フリーランスは働き方の面でも魅力が高く、収入が青天井になる可能性を秘めています。一方で、将来の年金が国民年金だけになるのは大きなデメリットともいえます。
とはいえ、厚生年金に加入していた期間があればその分の年金は受け取れます。将来の受給額はねんきんネットなどでもシミュレーションできるので、こまめに確認してみましょう。
年金を増やす方法が限られる分、貯蓄も重要になります。保険や資産運用なども視野に入れながら、資産形成方法を考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- ベンチャーサポートグループ株式会社「<コロナ禍での起業・独立実態調査>コロナ禍が続く中、起業・独立を考えている人の6割がすでに起業・独立に向けて行動しているが、ビジネス全般に対する将来への不安もあり」
- 厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
太田 彩子
