2022年3月に公表された地価公示。
新型コロナウイルスの影響を受け、全国平均において住宅地・商業地・全用途平均でマイナスとなった2021年の地価公示から2年ぶりに上昇に転じ、話題となっています。
中でも注目されているのが「さっせんひろふく(札仙広福)」。
「札幌市」「仙台市」「広島市」「福岡市」の地方四市を指す言葉で、東京・大阪・名古屋の三大都市に次ぐ地方主要都市です。
この「さっせんひろふく(札仙広福)」の地価平均上昇率は、なんと三大都市を上回り9年連続で上昇中。メディアでも多く取り上げられ、投資対象としても注目を集めています。
なぜ「さっせんひろふく(札仙広福)」の地価はこれほど上昇しているのでしょうか?2022年の地価公示の全体的な分析とともに、元気な街の理由に迫ります。
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1. 2022年の公示地価は「さっせんひろふく(札仙広福)」に注目!
「さっせんひろふく(札仙広福)」の地方四市の地価上昇が注目を集めている2022年の地価公示。
まずは全国平均、三大都市圏、地方圏、地方四市それぞれの地価公示の変動について分析してみましょう。
1.1 全国的な公示地価の変動
全国平均では、住宅地0.5%、商業地0.4%、工業地2.0%ですべてにおいて上昇。住宅地・商業地は2年ぶり、工業地は6年連続の上昇となりました。
住宅地では、新型コロナウイルスの影響による景気落ち込みからの回復傾向を受けて住宅需要が回復し、地価上昇につながったようです。特に都心中心部、交通の便がよい住宅地で継続して上昇しています。
また在宅勤務の普及により、都心への通勤圏内である都心周辺の郊外地域など、より物件価格帯が低いエリアでの住宅需要が高まり、地価の上昇が見られたようです。
一方人口減少が見られる地方圏においては地価の下落が続くなど、二極化の様子が見て取れます。
商業地でも景気回復傾向を受け、店舗、マンション用地の需要が拡大、地価上昇地点が多く見られました。特に駅近や主要路線沿いの商業地、再開発エリアでの上昇が多く見られます。
一方、観光客数が回復していない観光地などにおいては引き続き地価が下落している模様です。都心でも一部地域においてはオフィス需要が下がり地価下落が見られたエリアもあるようです。
1.2 三大都市圏の公示地価変動
三大都市圏では以下の数値で横ばい、もしくは上昇という結果でした。
住宅地は東京圏・大阪圏・名古屋圏すべてにおいて2年ぶりの上昇。
商業地は大阪圏で横ばい、東京圏・名古屋圏において2年ぶりの上昇となっています。
工業地は東京圏9年連続、大阪圏で7年連続の上昇、名古屋圏では2年ぶりの上昇となりました。
1.3 地方圏の公示地価変動
三大都市圏を除いた地方圏の平均変動率は、住宅地0.5%、商業地0.2%、工業地1.3%でした。ただしこの数値の上昇は「さっせんひろふく(札仙広福)」がけん引している部分が大きいといえるでしょう。
地方四市を除いた地方圏のデータを見ると、住宅地▲0.1%で2年連続下落、商業地▲0.5%で2年連続下落となっています。
2021年から2022年にかけて下落率は縮小しているものの、先述の通り人口減少が見られる地域では下落傾向が続いているようです。
一方工業地に関しては、地方四市を除いても0.8%で4年連続の上昇となり、かつその上昇率が拡大しています。
ここからは「さっせんひろふく(札仙広福)」の地方四市それぞれについて見ていきましょう。まずは北海道札幌市です。
1.4 北海道札幌市の公示地価変動
札幌市の2022年地価公示における住宅地の変動率は前年比+9.3%、商業地は前年比+5.8%。
中心部の高級住宅街や交通の便が良いエリアで高い住宅需要があり、地価上昇が続いているようです。
そうした中心部の物件価格の上昇を受け、物件価格が抑えられるその周辺区、さらに札幌市周辺市にも需要が流れ、住宅地・商業地ともに全体的に地価上昇が見られています。
1.5 宮城県仙台市の公示地価変動
次に宮城県仙台市を見てみましょう。
仙台市の2022年地価公示における住宅地の変動率は前年比+4.4%、商業地は前年比+4.2%。仙台駅周辺や、その近隣の駅近物件で高い需要があり地価上昇が続いています。
札幌市と同様、中心部の需要過熱の影響を受けて仙台市の周辺市にも需要が流れ、郊外部でも地価が上昇しているようです。商業地においても手堅いオフィス需要から地価の上昇が見られます。
1.6 広島県広島市の公示地価変動
広島市の2022年地価公示における住宅地の変動率は前年比+1.4%、商業地は前年比+2.6%。
中心部への利便性の高いエリア、住環境に優れたエリア、郊外の大型商業施設周辺エリアなどで高い需要を示しており、地価が上昇しているようです。
後述する広島駅周辺の再開発に伴って商業地でも地価の上昇が見られ、今後の期待から需要の回復が見られています。
広島市の地価上昇の影響を受け、住宅地・商業地ともにその周辺市にも地価上昇の影響が波及しているようです。
1.7 福岡県福岡市の公示地価変動
福岡市の2022年地価公示における住宅地の変動率は前年比+6.1%、商業地は前年比+9.4%でした。中心部付近における住宅需要が強く、優良マンション用地には需要が集中し競合するほどの状況となっているようです。
特に、後述する天神地区や博多駅周辺の再開発を受けてオフィス需要やマンション需要も引き続き高く、地価上昇が続いています。
他の地方四市と同様、中心部の地価上昇と需要の高まりが強いものの、人気エリアの供給数には限度があり、かつ価格が高騰しすぎていることから、その周辺市でも需要が増え地価が上がっているようです。
ここからは地方四市それぞれの地価が上昇している理由、投資対象として注目される魅力についてより具体的に見ていきましょう。
2. 北海道札幌市の魅力・公示地価上昇のワケ
2.1 2030年度北海道新幹線 札幌まで開通 駅前再開発
2030年度末を目標に北海道新幹線が札幌まで開通予定であること、さらに同年の冬季オリンピック招致を見据え、駅前をはじめ札幌市内では再開発計画が進められています。
札幌駅前には商業施設・オフィス・ホテルからなる複合ビルの建築計画も進み、新幹線・タクシー・地下鉄・バスなどの交通面での高度な接続機能も検討中とのこと。
札幌市の将来性は高く評価されており、住宅地・商業地ともに今後もさらなる地価上昇の可能性があるでしょう。
2.2 札幌市内新築マンション価格の高騰と高級化 億超え物件も
住宅需要の強さから札幌市内のマンション価格が高騰しています。タワーマンションや億超え物件などマンションの高級化も進んでいるようです。
さらに建築費高騰の影響を受けて物件価格の高騰が加速。2011年2832万円だった新築マンション平均価格は、2020年には3889万円まで値上がりしています。
実は不動産価格は、新築価格が上がるのに連動して中古価格も上がる傾向があります。価格が高騰している新築物件の購入が難しい層が中古物件に流れてくるため、中古物件の需要が上がり、新築に連動して中古物件も価格が上昇するという仕組みがあるからです。
公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2022年5月度」によると、札幌市の中古マンション成約m2単価は2022年5月時点で28万1300円/m2で、前年同月比10.0%アップ。2020年6月から24ヶ月連続上昇中です。
札幌市内のマンションは新築・中古ともに、価格の上昇傾向が強く出ています。
2.3 公示地価上昇率全国1位 北海道北広島市
札幌市の住宅価格高騰を受けて、比較的割安感のある周辺市へ住宅需要が波及しています。
特徴的なのが、住宅地・商業地ともに地価公示変動率全国1位の北海道北広島市。その上昇率はなんと住宅地26.0%、商業地19.6%でした。
これは札幌市からの需要の流れプラス北海道日本ハムファイターズの新球場誘致による周辺分譲マンションの人気上昇が要因と考えられます。
市が主導する駅前の再整備計画も進み、人気のある町として今後も地価上昇が続くかもしれません。
3. 宮城県仙台市の魅力・公示地価上昇のワケ
3.1 東日本大震災後から続く物件価格の上昇
宮城県仙台市では、東日本大震災以降、被災地の方の移住などもあり物件価格が上昇しています。
2011年の仙台市住宅地平均単価6万7400円/m2に対し、2022年の住宅地平均単価は10万4600円/m2。10年超で1.5倍以上になっています。
ちなみに公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2022年5月度」によると、2022年5月時点での仙台市の中古マンション成約m2単価は30万5200円/m2で前年同月比2.9%アップでした。
新築中古問わず、仙台市でも物件価格の上昇が続いています。
3.2 せんだい都心再構築プロジェクト
2019年に発表された仙台市が主導する「せんだい都心再構築プロジェクト」。老朽化した建物の建て替え促進や高機能オフィスの整備により、環境整備や企業誘致を狙ったプロジェクトです。
補助金制度や規制緩和なども導入し、東北地方の顔となるべく都市機能の強化を目指しています。同時に、企業を誘致することで雇用を促進し、若い世代の県外流出を抑える目的も。
再開発による今後の人口増加やオフィス需要の増加が見込めれば、今後も地価上昇が進む可能性があるでしょう。
4. 広島県広島市の魅力・公示地価上昇のワケ
4.1 2025年開業予定 広島新駅ビル開発
2025年春に開業を予定している新しい「広島新駅ビル」。ショッピングセンターやホテルを含む地上20階、地下1階の大型商業施設となり、路面電車も乗り入れる予定です。
2016年頃からは広島駅の南側・北側両面で大規模再開発も行われ、大型分譲マンションや商業施設も続々新規オープンしています。
これらの再開発の影響から、住宅地・商業地ともに駅周辺での需要が高まり、地価が上昇しているようです。
2012年の地価公示における広島市の住宅地平均価格は10万4100円/m2、対して2022年地価公示の広島市住宅地平均価格は13万6400円/m2。10年で1.3倍以上の上昇となっています。
4.2 八丁堀・紙屋町エリアの再開発計画
広島市の商業中心地である八丁堀・紙屋町エリアでも複数の再開発計画が同時進行しています。
大規模商業施設やマンション、ホテルなどの複合施設のほか、サンフレッチェ広島の本拠地となるサッカースタジアムも建設中で、2024年開業予定です。
再開発への期待から住宅地・商業地ともに今後も地価上昇の可能性があるでしょう。
5. 福岡県福岡市の魅力・公示地価上昇のワケ
5.1 高級ブランドの億ションも……! 住宅需要の大きな増加
福岡市の中心地に近い住宅街は非常に人気が高く、豪邸や高級ブランドマンションが次々分譲。億ションも珍しくないのが現状です。
2012年の地価公示における福岡市の住宅地平均価格は11万2600円/m2、対して2022年の地価公示住宅地平均価格は18万100円/m2。10年で約1.6倍に上昇しました。
中心部の価格高騰を受けて需要が周辺エリアにも流れ、周辺区でも物件価格の上昇が見られています。地価の上昇はしばらく続く可能性があるでしょう。
5.2 「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」
商業地の地価前年変動率全国ランキングにおいて、トップ10のうち7つを占める福岡市。そんな福岡市の商業地の地価上昇を支える2大再開発プロジェクトが進行しています。
日本でも有数の繁華街・天神地区における「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」です。
「天神ビッグバン」は、航空法による建物の高さ制限緩和や福岡市独自の容積率緩和などを打ち出し、老朽化した建物の建て替えを進めるプロジェクト。
2024年までに30棟もの建て替えを推進する予定で、県内だけでなく県外からも企業を誘致し、新たな雇用を生み出そうとしています。
一方「博多コネクティッド」は、容積率緩和や税制優遇・交付金などを用いて、博多駅周辺の交通整備や先進的なビルへの建て替えを進める再開発計画のことです。
2028年末に竣工を予定する「博多駅空中都市プロジェクト」も計画中で、まだまだ福岡市の再開発計画は続いています。
「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」の連動によって、福岡市の商業地としての需要がさらに高まり、ますます地価上昇の可能性があるでしょう。
6. 投資対象としても魅力的な「さっせんひろふく(札仙広福)」
コロナ禍の影響で数年ぶりに下落を見せた2021年の公示地価でしたが、2022年は景気回復の傾向を受け、全国的に上昇に転じていることが分かりましたね。
特に「さっせんひろふく(札仙広福)」の地方四市は、活発な再開発プロジェクトを背景に、住宅・オフィスともに高い需要を見せているようです。投資対象としても、大きな魅力となるでしょう。
こうした各エリアで進む再開発計画など、今後の動きを知っておくことは不動産投資を行う上で重要なポイントになります。
また公示地価や家賃相場、空室率、地域ごとの物件相場など、不動産投資には市場分析が欠かせません。以下のコラムやツールを活用し、ぜひ興味のある投資エリアについて理解を深めましょう。
※この記事はLIFULL HOME'S 不動産投資コラムより提供を受けたものです。
参照記事
LIFULL HOME'S 不動産投資編集部
