8月の今年3回目である年金支給日を迎えたばかりですが、次の10月の支給では、年金から天引きされる介護保険料の金額が変わる可能性があります。
「なぜ、10月に金額が変わるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。そもそも介護保険料は、どのように決まるのでしょうか。この記事では、介護保険料の仕組みや年金の天引き額の変動について解説します。
1. 介護保険料はどう決まるの?
介護保険料は、40〜64歳の「第2号被保険者」と、65歳以上の「第1号被保険者」で、算定の仕方が変わります。65歳以上の介護保険料については、自治体ごとに必要な介護サービス費用をもとに、保険料のベースとなる基準額が設定されます。そのため、自治体によって介護保険料は異なるのです。
保険料は、基準額をベースに、世帯の課税状況や前年の所得金額に応じて、複数の段階に区分されています。たとえば、新宿区では課税状況・所得金額に応じて、保険料が18段階に分かれています。
現在の介護保険料は、所得金額の高さに比例して、保険料も上昇していく仕組みです。住民税が非課税の場合は、基準額と同等かそれ以下の保険料負担で済みます。
次章では、10月から年金の天引き額が変動する理由を解説します。
2. 10月から年金天引き額が上がる理由
10月から介護保険料の天引き額が増える理由は、「10月まで」と「10月から」で保険料の徴収の仕組みが異なるためです。
年間でかかる介護保険料は、前年分の所得金額が確定する6月以降に算出します。そのため、年度を前半と後半に分け、正式な保険料が確定するまでの徴収の仕方と、保険料確定後の徴収の仕方を変えて、過不足なく保険料を徴収するようにしているのです。
具体的な仕組みは、以下のとおりです。
仮徴収(4月・6月・8月の天引き)
- その年の2月の特別徴収額と同じ保険料が「仮徴収保険料」として年金から天引きされる。
本徴収(10月・12月・2月の天引き)
- 正式な年間保険料額から、4〜8月に徴収された保険料額を差し引いた金額を3分割したものが「保険料」として年金から天引きされる。
4月・6月・8月の年金から天引きされる介護保険料は、その年の2月の徴収額など、前年度の保険料をもとにした金額を「仮の保険料」として徴収します。
10月・12月・2月は、すでに前年の所得金額が確定した後の時期です。正式な年間介護保険料が決定しているため、仮徴収額と実際の保険料額の差を解消するために、調整した金額が天引きされます。
10月以降の天引き額が高くなるのは、年間保険料が前年よりも高くなっていた場合です。仮徴収金額の不足分を解消して正しい年間介護保険料を徴収するため、天引き額が増えるのです。「仮徴収で少しずつ払っていた分を、残りの3回でまとめて調整する」と考えると分かりやすいでしょう。
なお、自治体によっては、仮徴収が4月と6月で終了し、8月から翌年2月までで本徴収をする場合もあります。保険料の算定方法については、住んでいる自治体に確認してみてください。
次章では、仮徴収・本徴収の仕組みを踏まえて、実際に年金支給時に天引きされる介護保険料を計算してみましょう。
3. 【試算】年金支給時に天引きされる介護保険料はいくら?
仮徴収・本徴収の仕組みを踏まえて、年金支給時に天引きされる介護保険料を計算してみましょう。この記事では、以下の条件で試算します。
- 東京都新宿区在住の65歳(単身世帯)
- 前年度2月の介護保険料は1万4520円(7260円×2ヵ月分)、今年度は所得が150万円になり介護保険料が増える見込み
- 老齢年金を受給中
これをもとに、仮徴収額・本徴収額を計算し、1回の年金支給あたりで天引きされる金額を確かめてみましょう。
まず、4月〜8月の仮徴収額は、前年度の2月の保険料額と同等です。そのため、1万4520円が3回にわたって徴収されます。
本徴収額を計算するには、決定した年間の介護保険料額を知る必要があります。「今年度は所得が150万円になる」という条件を踏まえると、年間の介護保険料は9万5040円です。本徴収額は「(年間保険料額ー仮徴収額)÷3」で計算します。それぞれの数字を当てはめてみましょう。
- (9万5040円ー4万3560円)÷3=1万7160円
そのため、10月から2月までは1万7160円が年金から天引きされることになるのです。
こうした金額は、6〜7月頃に自治体から届く「介護保険料額決定通知書」で確認できます。次章では、介護保険料額決定通知書の見方を確かめます。
4. 保険料と天引き額を確かめるには「介護保険料額決定通知書」をチェック
実際に納める介護保険料、年金から天引きされる金額を確かめるには「介護保険料額決定通知書」を確かめましょう。
介護保険料額決定通知書には、決定した年額介護保険料や、実際に年金から天引きされる金額が記載されています。前年度の通知と見比べれば、介護保険料の増減もよりわかりやすくなるでしょう。
ただし、介護保険料額決定通知書が届く時期は異なります。また、仮徴収額と本徴収額で別の通知書が届くケースもあります。自治体から介護保険料に関する郵便物が届いたら、詳しくチェックしてみるとよいでしょう。
5. まとめにかえて
65歳からの介護保険料は、それまでと算定の仕方が変わります。年度の途中で年金からの天引き額が変わる場合もあるため、介護保険料額決定通知書で「自分はいくら保険料を納めるのか」「年度の途中で介護保険料が変わるか」を確かめておくと、安心です。
年金から差し引かれる介護保険料の金額を正確に把握し、家計管理に役立ててください。



