2. 10月から年金天引き額が上がる理由

10月から介護保険料の天引き額が増える理由は、「10月まで」と「10月から」で保険料の徴収の仕組みが異なるためです。

年間でかかる介護保険料は、前年分の所得金額が確定する6月以降に算出します。そのため、年度を前半と後半に分け、正式な保険料が確定するまでの徴収の仕方と、保険料確定後の徴収の仕方を変えて、過不足なく保険料を徴収するようにしているのです。

具体的な仕組みは、以下のとおりです。

介護保険料「仮徴収と本徴収」について

介護保険料「仮徴収と本徴収」について

出所:盛岡市「10月から年金天引きされる介護保険料額が急に上がり(下がり)ました。なぜですか?」をもとに筆者作成

仮徴収(4月・6月・8月の天引き)

  • その年の2月の特別徴収額と同じ保険料が「仮徴収保険料」として年金から天引きされる。

本徴収(10月・12月・2月の天引き)

  • 正式な年間保険料額から、4〜8月に徴収された保険料額を差し引いた金額を3分割したものが「保険料」として年金から天引きされる。

4月・6月・8月の年金から天引きされる介護保険料は、その年の2月の徴収額など、前年度の保険料をもとにした金額を「仮の保険料」として徴収します。

10月・12月・2月は、すでに前年の所得金額が確定した後の時期です。正式な年間介護保険料が決定しているため、仮徴収額と実際の保険料額の差を解消するために、調整した金額が天引きされます。

10月以降の天引き額が高くなるのは、年間保険料が前年よりも高くなっていた場合です。仮徴収金額の不足分を解消して正しい年間介護保険料を徴収するため、天引き額が増えるのです。「仮徴収で少しずつ払っていた分を、残りの3回でまとめて調整する」と考えると分かりやすいでしょう。

なお、自治体によっては、仮徴収が4月と6月で終了し、8月から翌年2月までで本徴収をする場合もあります。保険料の算定方法については、住んでいる自治体に確認してみてください。

次章では、仮徴収・本徴収の仕組みを踏まえて、実際に年金支給時に天引きされる介護保険料を計算してみましょう。